太平山

太平山
  栃木市から望む冬の太平山

太平山 四季、自然、景観

太平山

太平山は関東平野との接点にあたる部分に立地しています。このため、標高が低い割には思いがけない遠方からも、この山域を指し示すことが容易に出来ます。稜線からの展望は素晴らしく、北は日光や塩原方面の山々、東は栃木市街と筑波山、南は関東平野と、眺望地点を変える度に変化します。西方の展望は太平山一帯からは難しいのですが、馬不入山山頂に向かうハイキングコースの途上で展望できる場所があります。冬季で空気の澄んだときであれば、新宿副都心の高層ビル、富士山、丹沢、奥多摩、奥秩父、両神山などの西上州の山々を視野におさめることができます。伐採が頻繁に行われていた昔に比較して、植林された木々も随分育っています。そのため、往時ほどの大展望は得られなくなってきた面もあります。



太平山太平山太平山太平山

太平山一帯は、奥多摩や奥武蔵周辺の低山に較べて、落葉広葉樹林が比較的多く残っています。なので、山域全体が明るい印象で、新緑や紅葉の時期にはとても見ごたえがあります。また、植物種が豊富なこともあって昆虫や野鳥類も多く、観察フィールドとしても好適地であるようです。南面山麓はぶどうを主体とした田園風景が広がり、のんびりとした雰囲気を満喫できます。反面、山域全体の規模が小さいことから、大きな水流に乏しく、滝や渓谷のような地形はほとんど見られません。地域によっては、ちいさな谷地地形が見られ、童謡に歌われそうな小川を中心にビオトープを形成しています。これらのほんのりした風景は市町村の観光パンフレット等には掲載されていませんから、自分自身の目と足で確かめる必要がありますね。山域のハイキングだけに固執せず、このような周辺地域も是非、巡ってもらいたいと思います。将来的に考えてもこれらの良き風景・景観が、いつまでも平和に守られるといった保障はないので・・・。

太平山太平山太平山太平山



太平山太平山太平山太平山

太平山は標高が低く低山丘陵でありながら、その植物相は豊かで、とても変化に富んでいます。これは、太平山がその立地のうえで南方系と北方系の植物相の接点を成していることが、その要因としてあげられるようです。小さな山の中には様々な植物が自生していますが、なかには、近年珍しくなってしまった山野草も少なからずあります。市街地からこれだけ隣接している小さな山で、長年にわたり命を繋いできたことはすごいことなのだなと改めて驚きます。反面、里山の自然は常に開発等の負荷に晒されているので、「普通」であることが仇となって、国内の原風景は急速に失われつつあることがとても残念です。このような状況のなかで、「普通であること」の価値を見直し、単に「貴重、希少」であることによってのみ、価値を見出すのではなく、わたしたちの隣人として常にそこにあり続ける身近な自然に対して、もっと労わりの心を持つべきかも知れないと最近は考えています。



太平山太平山太平山太平山

太平山は長い間、人の生活と関わってきた山です。そんなわけで、山野草と共に園芸種の花木がとても多いです。春になるとそれらの花木が一斉に開花するので、とても華やいだ雰囲気になりますよ。太平山で有名なサクラやあじさいも人の手によって植栽されたものが立派に育ったわけです。そういう意味では人と自然の良い傾向のコラボレーションかも知れませんね。 周辺の錦着山や永野川、かかしの里周辺は色々な花が咲きますから、周辺散歩もなかなか楽しいですよ。

太平山 太平山太平山太平山


太平山


山の気持ち
山はそれが自然の造形である限り、季節によって様々な表情を見せてくれます。標高や山岳の規模には関係なく、注意深く見守ると、いろんなことを私たちに囁いているものです。日々の仕事に忙殺され、つい見過ごしがちですが、私たちがまだほんの子供だった頃と変わらずに、山々はいつもながらの表情で迎えてくれます。そんな繰り返しに、価値を見出すか、無駄なものとして顧みないかは、私たち其々が育てる想い次第です。


太平山


麦秋
太平山麓では、5月になると麦の穂が黄金色に実ります。山麓を5月の風が吹き抜けると、そのクリーム色の絨毯は一斉にさわさわと音をたてて揺らぎます。春と夏の間の、ちょっと一息ついたようなこの時期は、周辺の農道を散歩するのも良いものです。里山らしさとは、人々の生業が健やかであれば、いつでもそのように輝くものです。地域が悩めば、里山の風景も雲ってしまうでしょう。


太平山


雪化粧
太平山には滅多に雪が降らないように感じますが、これも近年の暖冬の影響なのかなぁと考えたりします。それでも、時折まとまった積雪があって、そんな時はちょっと山に出かけたりもします。里の山の雪は湿って重たくて、大抵一日くらいでほとんど溶けてしまいます。運がよければいつもの見慣れた景色とは全く違う山の姿と出会うことが出来ます。こんなに綺麗だったんだなと改めて感心してしまいますが、山にとっては大きなお世話かも知れませんね。

 

 


太平山


太平山は南面が良いなと思います。北面は何故か植林やゴルフ場が多くて駄目です。南側は新緑や紅葉が山全体を彩るのでとても綺麗です。また、春はヤマザクラやヤマツツジが多いので、とても華やいで見えます。山の佇まいというのは意外に大切で、畑や水田などがよく似合う山です。もっとも、植林やゴルフ場が似合う山なんて知りませんが・・・。水を張った田んぼや刈り取られた作物の名残など、人々の生活そのものが風景の一部となって、里山の情景を形づくっています。そのどちらか一方でも欠けてしまったら駄目なのです。

 

 

inserted by FC2 system