扇沢から室堂へと向かうアルペンルート、覚悟はしていたもののやはり始発に関わらず混んでおりました。で、以前は観光客が多数派だったので、ダッシュして追い越すことは造作もないことてした。ところが、あぁ〜、昨今はなんて登山者やハイカーが多いのでしょう。皆さん、嬉しそうに猛ダッシュしてます。お陰で、ケーブルもロープウェイも最後尾という有様。先が思いやられます。最近の若い登山者や山ガールは格好ばかりだと貶すおっさんもおりますが、どうもそんなことはないようですよ。皆さん、有り余る体力をお持ちのようです。
扇沢周辺では晴れていたのに、室堂に到着すると小雨模様。な〜んにも見えません。ターミナルを出た時点で当日の五色ヶ原行きは延期。本日は雷鳥沢でテント張るだけとします。で、雷鳥沢のキャンプ指定地、午前中なのに既に過密状態。こんなに賑わう雷鳥沢、初めて経験しましたよ。テントを設営するのと相前後して雨脚は強まって来ました。結局、夕刻までテントのなかでひたすらゴロゴロとしてました。
夕刻になると、それまでの天気が嘘のように急速に回復。それまでガスに閉ざされていた立山連峰や真砂岳、別山など、屏風のように眼前に連なる様子が鑑賞出来ました。多少、天候が回復したら立山くらいは周遊しようと考えていたのですが。悔しいので雄山の山頂部を激写。
剣御前、別山、真砂岳、立山の様子。夕刻の残照が綺麗です。
自分のテントを見失いそうな雷鳥沢と遠くの建家は管理棟とトイレ。水洗なのでとっても綺麗で安心。
翌日、早朝の天候は良い感じ。けれども、午後からは崩れる予感。なので、早速五色ヶ原へと向けて出発です。ちょっと遠回り気味ですが、久々に地獄谷に寄って行きます。
んがぁ〜、く、苦しい。朝一番で立ち寄るところじゃないですなぁ。清々しい朝を満喫するどころか、命の危険さえ感じますぞ。
立山が未だ活動しているという証拠。室堂近辺は火山フェチにとって聖地のような場所であります。何処も彼処も愛おしい・・・。
温泉小屋の一件でも建てたいくらい湯量が豊富。谷というよりも小さな火口のような雰囲気ですね。
みくりが池に登る途中から見た剣岳。映画化の影響もあって、まだまだ混んでいそうですね。塩見岳のように黒光りするとヘルメットのような風貌です。
みくりが池湖畔。あれ、なんだか雲が増えてます。天候悪化と競争になりそうな予感。
五色ヶ原に向かうために越えなければならない浄土山。この辺りから眺めると実に端正で美しい山容ですね。
みくりが池も火口なんでしょうか。
登ってきた地獄谷と大日岳を望みます。今回も計画から落ちてしまった大日岳。来年こそは再訪したいものだと・・・多分。
早朝の室堂は良い感じです。殆ど人影も無くのんびり出来ます。アルペンルートの乗客が到着すると、状況は一変しますが。
浄土山の取り付きに到着。一の越経由にしようか迷ってましたが、直接浄土山に向かうことにします。
浄土山と一の越方面との分岐。昔に較べて室堂周辺は本当に良く整備されています。
浄土山に直接向かった理由の一つ。浄土山と室堂山を繋ぐ稜線まで高山植物が豊富なのです。
花々を愛でながらの高原散歩。
ベンチがあったのでちょっと休憩。そろそろターミナルに始発が到着する頃合いです。室堂に人工物など全くなくて、小さな温泉付き山小屋が一軒だけ建っていたら最高ですね。
室堂山と浄土山の分岐地点です。夏までは雪渓を渡って浄土山へと向かいます。ここまでは激しい登りもなく、整備状況も良いので一般観光客でも頑張れば大丈夫。
こっからが案外キツイ。巨岩の間を縫いながら進んだ後は山頂まで一気に高度を上げていきます。気持ちが挫ける前に素早く登ってしまうのが正解。
浄土山の山頂に到着。う〜ん、前方にインカ帝国の遺構がありますぞ。
神社の土台でしょうか。軍人さんを祀っているようですね。国土地理院の地図ではこの辺りが浄土山ということです。標高に拘るのであれば、富山大学の研究室方面に向かってすぐ、右手にあるピークが2831mになります。
短い稜線歩きを経て富山大学の研究室があるピークに到着。ここで、雲に飲み込まれる寸前の五色ヶ原とご対面。
一の越方面を俯瞰します。直接登るのと一の越から登るのとどちらが楽チンなのでしょうか。記億では一の越から登った時の方が多少簡単だったような。
立山研究室裏手から望む竜王岳。縦走路は山頂の基部から巻いてしまいます。天候が心配なので今回は割愛。皆さんは割愛などせず、是非登ってください。なかなか格好良い岩峰ですよ。標高も2872mで、一の越から南側では随一の高さ。もう少し注目されても良い名山です。
北西方向はまだ雲に覆われていないので夏空が広がっています。山頂に到着したハイカー達も嬉しそうに大休憩です。
ザラ峠まで結構なアップダウンが続きます。全般、下り基調なのが救いでしょうか。
竜王岳の下りから望む鬼岳です。縦走路は鬼岳の東肩に向かって巻いていきます。なので、山頂は通りません。山スキーなどで山頂を踏む場合はあるようですが、無雪期はどうなんでしょうね。登った方は是非、メールで知らせてください。
竜王岳の南斜面。実は隠れたお花畑の名所です。鬼岳とのコルに至る区間は威勢の良い高山植物に囲まれて幸せのひととき。
まるでそこら辺に生えてる雑草のように元気でのびのび。
短い夏を惜しむかのように先を争って子孫繁栄に勤しみます。
鬼岳とのコルから見上げた素晴らしい竜王岳の姿。突き上げる岩柱が束なりながら一点の極みを目指しているのです。
コルの正面には大きな雪田が残っています。激しい温度差のため、雪面上にガスが漂います。左手は一の越から東一ノ越に向かう登山道。東一ノ越は雷殿の駅が無くなってしまったのでちょっと厳しいですが、獅子岳、鬼岳、龍王岳の展望台として一度は訪れる価値のある場所です。
鬼岳の肩。多少の休憩スペースとなっています。団体さんが休憩していたので先を急ぎます。
稜線の東側に登山道が付けられているので黒部湖が真下に望めます。
名物、鬼岳の雪渓歩き。8月ともなれば・・・小さい。
夏の登山シーズンになれば安全に通過出来ます。滑落の危険よりも右手の岩場からの落石に注意したいところです。
2つ目の雪渓通過。雪渓を過ぎると獅子岳への緩い登りが始まります。
獅子岳周辺も高山植物の庭園。あぁ〜、でもこの辺りから雷鳴が轟き始めましたぞ。雨も断続的に激しく降り始めました。
獅子岳山頂に到着。さて、この後はザラ峠まで下って五色ヶ原となりますが、強風と土砂降りの雨となりましたとさ。なので、おじさんは大切なカメラをザックに収納、由って写真はありませんのです。
夕刻、五色ヶ原に張ったテントから望む雷雲の美しさ。緋色に染まった雷雲から稲妻が走る様子は妖しくも美しい光景でした。
さっきまでの激しい豪雨がうそのように静まり返った夕刻の空。
半分だけの月も美しいのです。・・・全部濡れちゃったので明日、どうしようかなぁ〜。
翌日も雲多めです。なにしろ、ぜ〜んぶ濡れちゃったので本日は五色ヶ原で停滞日とします。テントの周りに装備を並べて乾かします。さて、それ以外にやることがありません。どうしよう。
昨日越えてきた鬼岳と獅子岳を望みます。あんなに格好良い山々を越えてきたのですねぇ〜。特に獅子岳からザラ峠へと下りる登山道、こっから眺めると人間が通ってはいけないような道に見えますよ。
テント前からは今回の目的地、赤牛岳が望めます。左手の尾根筋が読売新道ですね。・・・遠いよね。
昨日は悪天候で追われるように歩いたので、本日は五色ヶ原をゆっくり楽しむことにしましたよ。
五色ヶ原一帯の登山道は殆ど木道を歩くようになっています。
五色ヶ原山荘でカレーライスを注文。元気なバイトのオネェちゃんが運んでくれましたよ。北アルプスの山々を眺めながら過ごす贅沢なひととき。
食後はお花畑見学会。
ちょっと花期のピークは過ぎてしまった感は否めませんが、それでも五色ヶ原の底力は十二分に味わえましたよ。
夏のお盆前までが見頃のようですね。
昨日は半泣き状態で通り過ぎたキャンプ指定地と五色ヶ原山荘との分岐。
キャンプ指定地を望みます。ロケーション的には北アルプスの指定地の中でも上位に入るのではないでしょうか。トイレ棟や水場もあります。秋に訪問した前回は台風接近で、トイレの中で食事したのですが、トイレで食べるカレーライスは強烈なトラウマとなっております。
さて、今度は刈安峠方面に散歩に行こうと思っていたら、昨日と同様に雷鳴と激しい降雨。ウェア類は乾かしたものの、明日テントを畳むのが憂鬱。
夕刻になると昨日と同じ展開に・・・。
何事もなかったかのような夕景です。完全に翻弄されてます。
赤牛岳がまさに赤く染まります。
槍ヶ岳の穂先。やはり周囲の山々よりも頭ひとつ抜きん出ていますね。
濡れたテントをグズグズとザックに詰め込んでいたらすっかり遅くなっちゃいました。 既に歩くのが面倒くさくなってます。
まず、五色ヶ原山荘へと向かいます。キャンプ指定地は五色ヶ原の中でも一段低い部分にあります。前方に見えるのは鷲岳。
五色ヶ原の山小屋は現在、五色ヶ原山荘のみとなってしまいました。
山荘前から望む獅子岳、鬼岳、竜王岳など。
雄山と雄山神社も望めます。
山荘を後にして鳶山へと向かいます。この辺りもなかなか美しい佇まいです。
雪渓と針ノ木岳やスバリ岳など後立山の峰々。
眼下には無数の池塘が見えます。道が無いのが残念ですね。幸せになれそうな場所です。
今日は天候も多少安定しているようです。 五色ヶ原の奥深さをしみじみと感じながら歩きます。
高原の真ん中にポツンと山荘の赤い屋根が可愛いのです。竜王岳、雄山、鬼岳、獅子岳の厳しいシルエットと五色ヶ原の優しい佇まいの対比がとても印象的ですね。
鳶山に到着すると南側の大観が広がります。あぁ〜、やっぱり来て良かったよ。
とっても地味に主張している鳶山の山頂標識。
明日、再訪することになる薬師岳。 遠いしデカいしぃ〜。薬師岳は北アルプスにあって唯一南アルプスの山のようなスケール感がありす。
こっから見る赤牛岳は端正です。正面が口元ノタル沢になります。右手に水晶岳、左手に槍ヶ岳。
昨年敗退した笠ヶ岳。トンガッテいて格好良いですなぁ〜。来年もう一回行ってみようかな。
槍ヶ岳。ここも混んでいそうなので、しばらく再訪の計画なし。
右手が北薬師岳、左手が薬師岳本峰。 どう考えても本日中に越えるのは無理そう。テント無ければ可能かも〜。
五色ヶ原西側のカルデラを望みます。かつてこの辺りに巨大火山があった名残でしょうか。陥没以前はどのくらいの標高があったのでしょう。現在も大量の土砂が流入しているので、常願寺川周辺での砂防工事は永遠に続きそうです。
剣岳を望みます。山頂に登山者が見えます。
浄土山、龍王岳、雄山、鬼岳。立山や五色ヶ原周辺はとても複雑な成因過程を経て現在の姿になったのですね。
明後日の目的地、黒部五郎岳。 あぁ〜、なんて優雅で上品な姿なんでしょうか。
などといつまでも山頂でゆったりしているわけにもいかないので先に進みます。 越中沢岳との鞍部までは急降下です。
鞍部からは越中沢岳に向かってじっくりとした登りが続きます。緩傾斜なのでとても登り易いです。
振り返ると鳶山と鷲岳が仲良く並んで見えます。前回は大雨だったので初めて見る風景です。
随分遠くなった雄山の頂。
スバリ岳、針ノ木岳、蓮華岳のファミリー。
後立山の盟主、鹿島槍ヶ岳。
越中沢岳の山頂です。
2591mとは思えない素敵な山頂。
越中沢岳は個人的に大好きな山のひとつ。あぁ〜、しあわせ。
ここからスゴ乗越小屋まで、案外キツイのです。
越中沢岳の山頂標識。また訪れたい山頂です。
スゴの頭付近に不思議な雲がかかっていますよ。山々では刻々と変化する気象状況によってこんなショーが突然始まります。
越中沢岳を後にしてスゴの頭へと向かいます。 のんびりとした縦走路は山頂直下だけ。
砂浴び雷鳥さんです。
んがぁ〜、下って登って下って登って・・・死んじゃいます。
スゴの頭までは縦走路もちょっと手強い雰囲気。各所で崩壊しているので想像以上に細かいアップダウンを繰り返します。危険な場所はありませんが、とにかくテント持ちには疲れる区間です。
スゴの頭手前の鞍部。なんでこんなに降りちゃったのと自身の身の上を嘆く場所。こっからスゴの頭までは苦しくても一気に登ったほうが良いです〜。
スゴの頭に到着。振り返って越中沢岳を望みます。 ちょっと感心してしまうくらい酷い下り道でしたぞ。鳶山からスゴ乗越小屋までは休憩のタイミングと場所が難しいのです。なるべく登りは休憩せずに一気に片付けたほうが良さそう。
スゴの頭から望むスゴ乗越小屋と薬師岳。まだまだ下って登って下って登って・・・死んじゃうのかな。
スゴ乗越小屋とキャンプ指定地を望みます。あぁ〜、遠い。
今回の縦走路の奥深さを感じる眺め。山々が山々と折り重なって、なにしろ山しかありません。
ようやく辿り着いたスゴ乗越。こっから再び登りとなります。 暑くて死にそう〜。
赤牛岳方面を望みます。スゴ乗越小屋までアップダウンは続くものの、比較的歩き易いので助かります。
エライ目にあわせてくれた越中沢岳とスゴの頭を望みます。
赤牛岳と薬師見平を望みます。赤牛岳の山頂から降りたほうが簡単そうですが、薬師見平からどのように脱出するかが難しそう。やっぱり夢の平からの往復が現実的なのかな。
山に入って4日目ともなると友人も増えてきましたよ〜。五色ヶ原から太郎平まで一緒です。元気ポーズのあんちゃんとは黒部五郎小屋まで一緒。山ではこうした繋がりも楽しいものですね。
本日は不覚にも指定地が満杯だったので急遽小屋泊まりに。一糸乱れぬ登山者の小屋での行動は恐怖体験でした。マナーを盾にした高齢登山者の不愉快な言動やうるさい山自慢も目立ちますなぁ〜。では、おやすみなさい。
●駐車場
扇沢ターミナルに無料の巨大駐車場があります。路肩駐車は交通渋滞を招くので駄目。
●トイレ
扇沢駅、黒部ダム、黒部平駅、大観峰駅、室堂ターミナル、雷鳥沢野営場、五色ヶ原キャンプ指定地、五色ヶ原山荘、スゴ乗越小屋などにあります。
●登山道
全般危険な場所はありませんが夏山シーズンは雷注意です。今回も半端ない雨にやられましたが、概ね12時頃までに次の目的地に到着すればなんとかなりそうです。最寄りの避難場所が無い縦走路なので早立ちが基本ですね。なお、越中沢岳、スゴの頭、スゴ乗越までの間はいい加減に歩いていると、つまらない怪我をしそうなのでまじめに歩きましょう。ザラ峠への下りも同様です。鬼岳の雪渓通過は7月半ば以後であれば心配する必要ないでしょう。
●備考
雷鳥沢のキャンプ指定地はとても広いので、相当混雑していてもテント張れそうです。管理棟に併設されたトイレも水洗で綺麗です。多少水はけの悪い場所があります。五色ヶ原のキャンプ指定地はあまり混雑することはなさそう。多少、傾斜地になっていたり、降雨時に水流の通り道となってしまう場所があります。トイレ棟は整備されていますが、往年の地下浸透式なのでちょっと勇気が必要かもです。マスクしていれば平気かなぁ。水場はコンクリートで整備されていますが煮沸を薦めています。スゴ乗越小屋のキャンプ指定地はとってもちいさいです。なので、結構早く到着しても良い場所をゲットするのは困難かも。大人数のテント設置に困る指定地ですね。トイレは小屋の外トイレを借りますがあんまり綺麗ではありません。まぁ、小屋内のトイレも同じレベルですが。水は小屋入り口で頂くことになります。
●主観的所要時間
室堂駅から浄土山は2時間程度(休憩含まず)。浄土山から五色ヶ原は3時間半から4時間程度(休憩含まず)。五色ヶ原からスゴ乗越小屋までは6時間程度(休憩含まず)。何れも荷物の量や本人の贅肉に応じて変化しますので参考程度です。
健脚な方ならば室堂からスゴ乗越小屋とか五色ヶ原から太郎平までなんてのが可能でしょうが、景色をゆっくり鑑賞したいのならばあまり欲張らないほうが良いでしょう。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。