●燧ヶ岳アプローチ
燧ヶ岳へのアプローチは国道３５２号を使います。昨年の集中豪雨の影響からか片側通行区間も複数ヶ所あります。檜枝岐から先はカーブの多い山道が続きます。御池手前からは穏やかな直進路で、標識に従って左折するとゲートのある大駐車場に到着します。駐車料金は千円で深夜などでもゲートは稼働しています。ここから先、沼山峠方面は一般車は通行できずシャトルバスを利用することになります。夏季は早朝４時台から運行しているので、大江湿原や尾瀬沼方面に向かうには便利です。
●燧ヶ岳
燧ヶ岳は尾瀬の盟主的な存在です。実際、燧ヶ岳の噴火によって現在の尾瀬一帯が形成されたわけですから、西の至仏山と共に尾瀬の景観には欠かせない役者でもあります。登路は４方向から集まっていますが、多少距離が長いものの、広沢湿原、熊沢湿原などを擁する御池からのコースは人気があります。山頂は三角点のある俎嵓と最高峰である柴安嵓が仲良く並んでいます。俎嵓からはナデッ窪から沼尻、大江湿原方面へ下りる長英新道が分かれています。柴安嵓からは眼下の尾瀬ヶ原に向かって、見晴十字路へと続く道がのびています。
燧ヶ岳
(ひうちがたけ) 2356m
福島の山 燧ヶ岳 訪問日2012年08月04日 天候 晴れ
燧ヶ岳 ハイキングルート
深夜の御池駐車場に到着。夏休みなのに、尾瀬なのに・・・なんとなく空いているように感じるのは錯覚？早朝、出発時間になってもなんとなく閑散とした印象の御池でした。
駐車場奥がそのまま林道入口となっていて、入山者数をカウントしているゲートをくぐります。直進すれば尾瀬ヶ原、今回は燧ヶ岳なので早々に左折。
時折、階段や木道が整備されているものの、火山らしい岩ゴロゴロの急登が続きます。先週の反省から今回は荷物を極力減らした日帰り山行。なので、調子は良い感じです。
最初の見所、広沢田代に着きましたよ。ここまで急登を我慢しておよそ1時間弱。
まだ、目覚めたばかりの湿原の風景です。
後方には大杉岳から会津駒ケ岳へと連なる稜線。
ワタスゲゆらゆら。今年もワタスゲに間に合って良かった、良かった～。
池塘が早朝の青空を写してとても綺麗です。
広沢田代の標柱がある場所は、ベンチはありませんが休憩スペースが確保されています。
更に広沢田代の湿原の奥へと進みます。付近はすっかりキンコウカのお花畑。
少しずつ傾斜を増してから正面の尾根に突入。こっから再び怒涛の急登。４～５０分程度なので頑張ります。
急登が続く登山道から見下ろす広沢田代と会津駒ケ岳。
樹高が低くなるとようやく正面に燧ヶ岳が望めます。
熊沢田代の入口から望む燧ヶ岳。まっことのびやかな佇まい。日本的情緒満載でありますなぁ～。
熊沢田代もキンコウカ、キンコウカ、キンコウカだらけ。。
池塘の奥に見えるのは平ガ岳と越後の山々。
熊沢田代は傾斜湿原なので花々を愛でながら、いつの間にかこんなに登ってしまいましたよ。
熊沢田代を登りきると登山道は燧ヶ岳から延びる涸れ沢のひとつを辿るようになります。早い時期ならば残雪が詰まっている場所ですね。８月にもなると雪は消えてしまうので、岩ゴロゴロの道を悪態つきながら辿ることとなります。
涸れ沢は最後まで詰めずに左側に抜けます。テープが張り巡らされているので出口を間違うことはないでしょう。その後は、左方向に斜上していく感じです。ここも案外きつい登りです。シャクナゲとハイマツを掻き分けて飛び出した場所は既に俎嵓の山頂。
俎嵓の山頂には小さな祠が鎮座しております。岩が折り重なった狭い山頂からの展望は３６０度。
尾瀬沼を眼下に望み、遠く日光の山々を遠望します。
お隣の柴安嵓と背景に尾瀬ヶ原と至仏山を望みます。
女峰山と小真名子山。
小真名子山と太郎山。
男体山はなんだか平べったいのです。温泉ヶ岳と根名草山、一番手前が物見山と鬼怒沼山です。
日光白根山と錫ヶ岳。手前の稜線は燕巣山と四郎岳。
北方を望むとやはり平ガ岳の大きいこと・・・。更に後方には中ノ岳や駒ケ岳など。
多分、飯豊連峰。その他、富士山や北アルプスなども望めましたよ。
俎嵓から柴安嵓へとお散歩です。二山を繋ぐ鞍部はちょっとした平地となっていて小さな別世界。
柴安嵓の山頂に着きました。帰路は再び俎嵓へと戻りますから、行ったり来たりと少々忙しない・・・かな。
山頂付近は満員御礼あんど笑顔と笑顔が交差する場所。
柴安嵓山頂からは尾瀬ヶ原の全貌が見渡せます。至仏山が最奥に座し、両袖をアヤメ平と景鶴山が固めているという布陣ですなぁ。
先程まで休憩していた俎嵓を望みます。
尾瀬沼を背景にして御池山や赤ナグレ山等。燧ヶ岳はこうして眺めて見ると、結構複雑な地形をしているのですね。
さて、再び俎嵓に戻った後は下山です。
眼下に見える熊沢田代。後方には会津駒ケ岳。
ここから涸れ沢を下降します。赤やら黄色のテープで注意喚起しております。
残雪が詰まっていると結構な急斜面でしょうね。なんとなく塹壕を通り抜けているような閉塞感がありますぞ。最後は直進して降りないように、上部と同様のテープ類が左折するように促しています。
熊沢田代の上部。傾斜湿原なので周囲はキンコウカ、ワタスゲ、タテヤマリンドウなどが咲き誇っていますよ。
木道が前衛芸術作品のようにも見えますなぁ。燧ヶ岳の上空は夏真っ盛りです。
ゆるゆると池塘に向かって下りていきます。風がサワサワと通り抜ける気持の良い空間です。
熊沢田代の真ん中には二つの大きな池塘と休憩ベンチがあります。あぁ～、なんて素敵な場所なんでしょうか。
ベンチから熊沢田代上部と燧ヶ岳を望みます。
午後の湿原。そりゃもう、泣けてきそうな風景でございます。
水面を抜ける風、揺れるワタスゲ、フワフワの綿雲。
セガンティーニの絵の中に入ってしまったかのような錯覚。
荒んだ心に響きすぎて、う～ん、言葉を失う・・・。
こういう風景を目の当たりすると、またまた人生を反省したくなりますぞ。あぁ～、俺って馬鹿かも・・・とか。
などと凹んでいても仕方ないので、再び人生の一歩を踏み出します。草原の中をすぅーっと伸びていく一本の木道って、なんだか心に多くのことを語りかけてくるのかも。
燧ヶ岳様、本日はどうもお邪魔しました。また、今度。
この辺り、ちょっと先の地点で標高１９８６メートル。
今度は広沢田代まで怒涛の下降ですよ。
木道や階段が整備されているのはごく一部です。大半は岩ゴロゴロの歩きにくい道。
梢の間から広沢田代が望めます。まだまだ下りますね・・・がっくり。
木道は足裏に跳ね返るので長い間歩いていると結構疲れますなぁ。
ようやく戻ってきた広沢田代。
やはり、朝の佇まいとは全く違う雰囲気ですね。湿原は時刻によってその表情を様々に変えていくようです。
湿原の上を夏がゆっくりと通り過ぎていきます。
広沢田代の池塘群。大小様々。
熊沢田代とはまた異なった趣ですね。
池塘はまるで命の揺り籠。
池塘に映る夏の雲。
・・・あかん、また泣けてきた。
広沢田代はお弁当でも持って一日中のんびりと過ごしたい場所です。
残念だけれどそろそろ帰る時間かな。
再び、登山道は急降下。湿っぽいので滑り易いのです。
緑あふれる午後の森。
急降下が一段落するとゆるやかな下り道が続きます。
分岐に到着。
御池の林道入口に到着。お疲れ様でした。
燧ヶ岳で見た花
キンコウカ
ワタスゲ
ミヤマアキノキリンソウ
オトギリソウ
ゴゼンタチバナ
ギンリョウソウ
ちょっと疲れたモミジカラマツ
タテヤマリンドウ
コオニユリ
●駐車場
御池に有料巨大駐車場があります。料金は千円、但し五千円買い物すると無料らしい・・・。
●トイレ
御池にチップ制のトイレ。
●登山道
夏季にはそれほど危険な場所はありません。急坂での転倒注意、湿原では木道以外に立ち入らないこと。夏のはじめまで残雪が詰まっている沢は、上部と下部の２箇所テープで塞いであり、それ以上登ったり、或いは下ったりしないように注意を促しています。人気のある山なのでネットで検索すればうんざりする程の情報が得られることでしょう。
●備考
燧ヶ岳ではとても沢山の登山者と遭遇しました。
●主観的所要時間
往復で６時間程度あれば戻ってこれそう(休憩含まず)。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。