トイレは大行列、水場も行列、朝日が登ればみんなでカメラを構えて、う〜ん、小屋前のベンチでそんな様子を呆気に取られて眺めていたら誰もいなくなっちゃいました。完全に仲間はずれです。なんだか滅茶苦茶おっかねぇ〜一夜だったのです。
さて、小屋泊まりですっかり疲れきった心と身体を労りながら先を急ぎます。スゴ乗越小屋は既に薬師岳への稜線に乗っかっているので、しばらく登るとどんどん眺めが良くなってきます。
正面に見える間山を目指します。周辺は樹林帯と草原を繰り返す風景。緩急を繰り返しながら高度を上げていきます。
立山や五色ヶ原ではあまり見かけなかったキスゲも増えてきましたよ。
眼下には黒部の流れがキラキラと輝いています。こうして眺めると、ダム上流側ではあるものの本当に深い峡谷です。
この辺りからは黒部の深い峡谷を挟んで薬師見平も良く望めます。なんだか気持ち良さそうな場所ですね。薬師見平も幸せが待っている場所なのでしょうか。
黒部の河床を見下ろします。気持ち良さそうな河原ですが、一般の登山者が簡単に訪問できる場所ではないですね。
雪田が印象的な間山。本当の山頂はここから見えません。
池塘もあって、周囲は美しい二重山稜を形成しています。
ザクザクの岩屑道が続きます。近寄ってみると大きな雪田ですね。
間山に到着。尾根の一部のような山頂です。正面には北薬師岳への稜線が美しく望めます。
山頂脇にも池塘があります。北薬師岳と池塘の組み合わせは定番のアングルですね。
しばらく穏やかな散歩道が続きますよ。けれども天候が悪化すると信じられないほどの強風が吹き下ろす場所でもあります。
最初のピークは薬師の稜線が良く望めるところ。北薬師岳へはまだまだ遠い道のりです。
北薬師岳と薬師岳本峰。東側はカール地形となっており急峻です。
テント組にここで追い抜かれます。なんというか、3人共ブルドーザーのような歩き方ですなぁ〜。カナダ、アメリカ、ニュージーランドの国際登山隊です。
これから辿る鷲羽、水晶、赤牛岳の稜線が良く確認出来ます。
水晶岳は周辺の山々と較べて頭ひとつ高いですね。
薬師側から眺める赤牛岳。なかなか均整のとれた格好良い山容です。まぁ、これから訪問する山なので多少贔屓目ではありますが。
登ってきた稜線を見下ろします。高度が上がるにつれて、稜線が痩せて急峻になっていく状況が良く判ります。
北薬師岳のピラミダルな頂きはもうすぐ眼の前です。天に向かって指し示す頂を目指す爽快な縦走路です。
巨岩が累々と折重なる西側の斜面。飛び石伝いに歩くような雰囲気なので、足の捻挫などに注意。
東側はスプーンで抉り取ったような氷河地形。グズグズの岩屑で覆われた滑りやすい道です。
東側斜面にはまだ多くの雪田が残っており、涼しい風を送ってくれるので気持ち良いのです。
北薬師岳の山頂です。
北薬師から望む赤牛岳。あぁ〜、なんてたおやかで美しい稜線なのでしょう。
水晶、鷲羽、祖父、雲ノ平、三俣蓮華など、北アルプス最奥の山々。
北薬師岳から薬師岳本峰の間は長い痩せた稜線で繋がっています。足元が悪いので見た目より意外に時間がかかる区間です。
ワリモ岳と鷲羽岳が描くスカイライン。更に圧倒的な高さで雲間から顔を出す槍ヶ岳。
泣けてくる風景ですなぁ〜。
さて、薬師岳へと向かいます。東側は金作谷の巨大なカール地形。その縁に沿って歩いて行きます。
遅い時期まで残雪が残る場所なので、登山道があまり安定していないところもあります。細かなアップダウンが続くので慌てずゆっくりいきましょう。
登山道は稜線の東側や西側を縫うように付けられています。
北薬師岳を振り返ります。
この辺りまで来ると山頂まで一投足。前回は台風接近の中での訪問だったので、雨と風しか記億にありません。なので、今回はかなり嬉しい〜。
金作谷カールを見下ろします。カール底は別天地の予感。残念ながら道がありません。
山頂に近づくと何故か雲が押し寄せてきましたよ。
薬師岳山頂です。・・・なんも見えませんがな。
え〜ん、山頂だけ雲がかかってしまいましたよ。
小一時間待っても雲が取れないので諦めて先に進みます。薬師岳の南側は広い斜面なので視界が悪い時は要注意。
これが避難小屋なのかなぁ。小屋というよりも残骸みたいな・・・。この付近から東側に派生する立派な稜線は東南稜なので入り込んではいけません。
尾根筋を忠実に下ると、間もなく眼下に薬師岳山荘が見えてきます。
薬師岳山荘から振り返る薬師岳。なにしろでっかい山です。確かに東南稜の方が立派な尾根ですね。
とっても綺麗な薬師岳山荘。ここで軽食を注文して昼食です。別途、お茶なども入れてくれたり、とても親切で居心地の良い山小屋でしたよ。
薬師岳山荘からは本日のキャンプ指定地薬師峠まで下りるのみ。山並みも薬師岳を越えると大きく様変わりします。
明日、訪問させて頂く黒部五郎さんのお宅です〜。なかなか小洒落た雰囲気です。
明後日に訪問させて頂く、鷲羽さんとワリモさんのお宅。手前の祖父岳さん宅にも寄らせて頂きます。
更に、その後に訪問予定である水晶さんのお宅。・・・豪邸ですがなぁ〜。
太郎平と北ノ俣岳付近。薬師岳の南側では牧歌的な風景が広がります。
とはいうものの、実際に歩くとなかなかハードな下り道。薬師平までは急坂が続きます。
薬師平の草原で一息。
薬師平から薬師峠へと一気に下ります。薬師岳が2926m、薬師峠が2294mです。なので、あまりいい気になって駆け下りると足がやられますぞ。沢を幾度か渡り返すとキャンプ指定地に飛び出します。
キャンプ場では既に出来上がっている連中を発見。明日、太郎平から下山するとのことです。お疲れ様でした。薬師峠の指定地はシーズン中は管理棟に管理人が常駐しており、キャンプ代金の徴収の他、ビールなども販売しています。また、トイレはトイレ棟が併設されておりとても綺麗です。水場も水量豊富で安心。人気の指定地なのでいつも混雑気味なのが玉にキズ。
翌日は残念な天候で回復の兆しもありません。仕方なく黒部五郎岳に向かいます。キャンプ指定地から少し登った位置にある太郎平小屋。周辺地域で最も大きな山小屋です。
太郎山手前で薬師沢への道と分岐します。赤牛岳への最短距離となりますが、今回は稜線を繋いでいくことに拘っているので、黒部五郎岳へと向かいます。直接、雲ノ平に向かってしまえば、翌日は高天原への散歩も可能なので悩ましいところです。
太郎山周辺は草原の広がる美しい場所・・・の筈。
好天であれば楽しい道なのにねぇ。
以前よりも荒れている印象。各所で土砂流出が激しいですなぁ。
神岡新道との分岐地点。次回はここから登ってくるのもよさそう。
北ノ俣岳周辺はとても穏やかな起伏が連続しています。高原を散策するような按配です。
北ノ俣岳山頂に到着です。視界も全くない状態なので道草することもなく随分早い到着となりました。ここから降雨と横風がひどくなってきましたよ。
赤木岳ではカップルの登山者が道標の前で楽しそうに休憩していたので写真割愛。「写真撮るからどいてくんねぇかなぁ〜」などと、意地悪おっさんになりたくなかったので。先の中俣乗越で大休憩です。
乗越から顕著なピークをひとつ越えてからようやく黒部五郎岳の本体に取り付きます。大体300mくらいを一気に登ります。まぁ、悪天候の時ってひたすら登り続けるしか無いのです。
岩屑に覆われた道は登るほどに傾斜が増していくという雰囲気で、九十九折の苦しい登りが続きます。天候が良ければ気持ちも紛れるのですが。
黒部五郎岳の肩の広場に荷物を置いて山頂だけ往復します。
数分で黒部五郎岳の山頂に到着。なんにも見えないだろうなぁと思っていましたが、やっぱりなんにも見えませんでした。
前回は快晴だったので今回は諦めます〜。ということで、黒部五郎岳のカール底へと向かいます。
黒部五郎岳のカールは小ぢんまりとした雰囲気。それだけに箱庭的風情で、お気に入りの場所なのです。
まぁ、今回は美しいとかそういう雰囲気ではありませんなぁ〜。 幻想的ではあるかも。
カール底から暫くの間は踏み跡も錯綜しているので、道標やペンキ印を注意して追いましょう。
巨人がこしらえた日本庭園のような場所です。
カールから黒部五郎小屋までは案外距離があるのです。テント持参の場合で大体2時間くらいでしょうか。
延々と山体を巻いていくように登山道が付けられています。ゆるやかな道ですがだんだんとうんざりしてきます。
周辺は灌木林と草原が交互に現れる感じです。とても緑濃く美しい景観です。
ようやく黒部五郎小屋に辿り着きましたぁ〜。小さいけれどとても雰囲気の良い山小屋です。
またカレーライス・・・。今回の山行は少しでも荷物を減らすため、各小屋の軽食を最大限利用することにしているのです。
・・・足らねぇので、今度は親子丼。 黒部五郎小屋の軽食は美味いですぞ。お薦め。
あれ、なんだか明るくなって来ましたぞ〜。黒部五郎小屋の指定地は二段構成。雨の心配がある時は、下の段には張らないほうが賢明です。トイレは小屋の外トイレを使用しますが、掃除が行き届いておりとても綺麗です。水も同様に小屋で頂きます。
キャンプ指定地でテントを張った後はビールを飲みながらブラブラ散歩。前回の五郎越えでは小屋休憩後、三俣蓮華岳を越えて三俣山荘の指定地で幕営したのですが、今回は全くその気力がありません。
お約束のように夕刻には晴れてきましたよ。
雨天の黒部五郎岳は大好きな山だけにちょっと残念でした。それにしても・・・登山靴が臭い!!靴下から異様な悪臭がぁぁぁ〜。では、おやすみなさい。
●駐車場
前回の続きなので省略。
●トイレ
スゴ乗越小屋、薬師岳山荘、薬師峠キャンプ指定地、太郎平小屋、黒部五郎小屋などにあります。
●登山道
全般危険な場所はありませんが夏山シーズンは雷注意です。この区間も最寄りの避難場所が無い縦走路なので早立ちが基本ですね。なお、北薬師岳から薬師岳本峰の間はカールの縁を歩くので転落注意。黒部五郎岳ではカール底に下る時などには転倒注意。
●備考
薬師峠のキャンプ指定地は広いのですが相応に混雑します。管理棟もあってシーズン中はビールなども買えます。トイレは男女別の綺麗なトイレ棟があります。水場の水量も豊富です。黒部五郎小屋の指定地はあまり広くありませんが、少し降りた場所に広いテントサイトがあります。ただし、こちらの低い場所は水はけ要注意です。笠ヶ岳と薬師岳が望めてなかなか快適な指定地です。トイレは小屋の外トイレを使用しますが、常に綺麗に清掃されており快適です。水場は小屋前のものを使用します。
●主観的所要時間
スゴ乗越小屋から薬師岳は4時間30分程度(休憩含まず)。薬師岳から薬師峠は2時間30分程度(休憩含まず)。薬師峠から黒部五郎岳までは5時間程度(休憩含まず)。黒部五郎岳から黒部五郎小屋までは2時間程度(休憩含まず)。何れも荷物の量や本人の贅肉またはお腹の調子に応じて変化しますので参考程度です。健脚な方ならば薬師峠から三俣蓮華岳を越えて三俣山荘の指定地までなんてのが可能でしょうが、景色をゆっくり鑑賞したいのならばあまり欲張らないほうが良いでしょう。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。