太平山

太平山
  謙信平から望む冬の関東平野

太平山ハイキングコース

太平山

太平山は関東平野の縁に位置し、三毳山などと共に栃木県の玄関口に位置するような山です。東北道の佐野藤岡や栃木インターから手軽に向かうことが出来ます。また、JR両毛線や東武日光線を利用して訪れることも出来ます。ハイキングの山としても交通の便が良く手頃な山なので、県外からも多くのハイカーが訪れます。春のサクラ、初夏のアジサイ、秋の紅葉、冬枯れの低山ハイクでは、県北の雪を纏った山々を眺めながら、楽しい日溜まりハイクが楽しめます。ハイキングの対象となるのは、太平山、晃石山、桜峠、馬不入山などで、ミニ縦走形式で楽しむ方が多いようです。採石場となる以前は、馬不入山から岩船山まで歩くのが定番で、舳先地蔵に至る岩場は高度感があって、ハイキングを締めくくるのに相応しいフィナーレでした。メインのルートは関東ふれあいの道として整備されている区間もあるので、初心者の登山デビューにも最適です。標高は太平山が341m、晃石山が419m、馬不入山が345mです。平野から立ち上がるので、富士山、丹沢、東京副都心、スカイツリーなど、低山とは思えない展望が得られます。


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あじさい坂
あじさい坂は比較的新しい観光名所です。表参道の沿道を利用してあじさいを植栽したものです。種類は特に珍しいものではなく、普通のあじさいです。何故、太平山にあじさいなのかはともかく、「日本の音風景百選の地」に選出されています。植栽されたあじさいも年数を経れば、従来の自然環境に馴染んでいくのかも知れません。いまでは見事なあじさい咲く小径となりました。あじさいが植栽される以前は、様々な山野草が見られる参道でした。個人的には往時の鄙びた参道を懐かしく思い出します


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連祥院 六角堂
あじさい坂の入り口左手にある建物です。以前は古色蒼然とした佇まいだったのですが、近年、建て替えられたようですね。周囲の雰囲気まで明るくなったように感じます。天長4年(827年)慈覚大師円仁により創建ということで、ご本尊は虚空蔵菩薩です。神社に向かう参道脇に仏教建築ということなので、本来、日本人は神仏の違いなどあまり気にしない、おおらかな性質だったのでしょう。明治期の神仏分離によって現在の地に移転したようです。アジサイの季節、周辺は色とりどりのアジサイで埋め尽くされるのでなかなか美しいと思います。


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大平沢
太平沢付近のハイキングコースは針葉樹の巨木が林立し、深山の赴きがあります。かつては集水設備もなく未舗装の林道で、オオムラサキやカラスアゲハなどが水を求めて道端に沢山集まっていました。太平山では表参道付近とともに「水の気配」のする貴重なエリアでした。近年は排水溝などが整った影響で、乾燥が著しいようですね。周辺は貴重な山野草も多かったのですが、近年では非常に少なくなってしまいました。


太平山

太平山は小さな山域でありながら、豊富な植物相を観察することが出来ます。沢から尾根ひとつ乗り越すと山の雰囲気が大きく変化し、飽きることがありません。太平沢から分岐する小径を辿って、つつじ公園や表参道(あじさい坂)方面にも向かうことが出来ます。表参道に向かう途中にある小広い平地にはかつて家屋が建っていましたが、現在はベンチなどが置かれています。


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窟神社
巨岩の下が丁度地底の池のようになった神社です。付近には東屋なども整備されて休憩には良い場所です。銭洗弁天が祭られていますが、入り口の建屋部分は倒壊してしまったようです。また、近くの東山腹を登るハイキングコースは、かつて何棟ものバンガローやキャンプ施設があった場所です。さらに、大曲駐車場方面に向かうと、当時、アーチェリー施設があった場所を越えて、随神門近くの車道にでることが出来ます。


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太平山表参道
表参道(あじさい坂)周辺は、かつて太平山神社への表玄関でした。その賑わいは相当なもので、周辺には謙信平と同様に休憩処やお土産屋が軒を並べていました。いまでも、表参道を辿ると小広い空き地や庭木の類が密生し美しい花を咲かせていたりしますが、これらは、その当時の名残りとも言うべき場所です。


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表参道(あじさい坂)入り口から随神門へ至る中間地点の様子です。付近の針葉樹は樹齢を重ねた立派なものが多く、深山の赴きがあります。水戸天狗党の本陣となった地でもあり、歴史的な風情を色濃く残す場所です。


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随神門
表参道を登り車道と交差する場所には太平山神社の随神門があります。1723年の建築で往時の栄えた様子が偲ばれます。随神門から太平山神社まで急な階段が続いています。焦らずゆっくりあがれば、ほどなく太平山神社に着きます。また、車道を左に向かえば謙信平方面へ、右手に向かえば大曲駐車場を経て見晴台方面に向かうことが出来ます。


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随神門から続く階段の参道は太平山神社で良く手入れされています。なので、四季を通じて様々な花を楽しむことが出来ます。また、随神門までの針葉樹主体の参道と異なり、広葉樹も多いので美しい紅葉も楽しめます。


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大平山神社
太平山神社にはかつて階段を登り切った場所に絵馬堂があって、なかなか良い雰囲気を醸し出していました。旧い板に描かれたそれらの絵を眺めたり、堂内から見下ろす表参道の風景は味わい深いものでした。現在は、コンクリートで整地され更地となっています。数々の興味深い絵馬は全て保存されているものと思いますが・・・。


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太平山城
太平山神社の脇からハイキングコースが始まります。ハイキングコースに入ると間もなく左手に何箇所か石垣が見られ、大平山城の城郭遺構と考えられます。年月を経ているものの石積み自体がかなりそっけないものなので、本格的な建造物というよりは、簡素な見張台や物見櫓程度のものと考えたほうが良さそうです。


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ハイキングコースは太平山の山頂に向かう道と巻き道に分かれますが、山頂の先で再び合流します。山頂に至る道は岩の多い急登ですが良く踏まれた歩き易いものです。


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富士浅間神社
太平山山頂への路は東面は杉の植林、西面を雑木林と二分しており、明暗がはっきりとした登り路です。太平山山頂には富士浅間神社があります。ベンチなども設置されて休憩しやすい場所です。ここからぐみの木峠を経て晃石山へは一時間程度の行程になります。太平山山頂からの展望は残念ながらあまり良いとは言えませんが、途中、木立越しに西側の展望が得やすい場所があります。ついでに山頂付近の植林された樹木を伐採してくれたらと思ってしまいます。


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太平山から晃石山へ向かうハイキングコースはヤマツツジの多い小径です。途中、電波中継塔付近で車道を横切ってハイキングコースは続きます。晃石山へのハイキングコースは道標も整備されており、全く心配する点はありません。但し、雨天の場合には露岩やローム層特有の滑りやすさに充分注意する必要があるでしょう。新緑や紅葉の時期にはまるで庭園を散策しているような気分で歩くことが出来ます。


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ぐみの木峠
ぐみの木峠の様子。ぐみの木峠は大中寺方面からのハイキングコースと合流しています。以前は藪深い場所でしたが現在はご覧のとおり。この周辺も植林が伐採されれば明るく眺めの良い峠となるでしょう。晃石山まではここからひたすら登っていきます。


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晃石山山頂下の分岐。現在は晃石山神社からの道以外にも、直接晃石山山頂に至る道が出来ています。


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晃石神社
晃石神社です。晃石山頂直下には晃石神社があって、ハイキングの良い休憩場所となっています。近年、南側の一部が伐採されたため以前よりも明るい雰囲気になりました。神社は山岳信仰と結びついており、日夜恍々と輝いた鏡石を綾都比之神と称して祭られています。栃木市の山というよりも大平町山田の里に縁の深い山と言えます。ここから清水寺などを経て直接大平町に下ることも出来ます。


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晃石山
10年前の晃石山山頂の様子。晃石神社の裏手から晃石山頂に向かうことが出来ます。急な杉木立を抜けると、小広い雑木林に囲まれた晃石山頂です。片隅にはひっそりと三角点が鎮座していました。晃石山は三角点のある山として隠れた人気のある山でもあります。特に、冬から春にかけての時期は歩きやすく休日にはハイカーも多く訪れます。


太平山
現在の晃石山山頂。驚くほど眺めが良くなっていますね。更にハイキングコースが直接山頂に登ってくるようになっていました。多くの人が訪れているようで、山頂は運動場のように踏み固められています。ベンチまでありましたよ。
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晃石山山頂から南の眺め。岩船山や三毳山が望めます。春霞でちょっと厳しいですが、冬枯れの日であれば、東京方面や富士山まで望めます。


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晃石山山頂の三角点はちょっと珍しいサイズなんだそうです。云われて見れば確かにデカイ。以前は草に埋もれた雰囲気だった三角点も随分様変わり。


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晃石山から桜峠に向かうハイキングコース。全般、雑木林の明るい小径が続きます。


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松枯れの影響で樹木が減って随分明るくなりました。


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桜峠
晃石山から西に向かって歩を進めると急坂を一気に下るようになりますが、降りきった場所が桜峠です。峠には名前のとおりに山桜の古木があります。桜峠は晃石山と馬不入山との中間点にある峠で、昔は表東山道と裏東山道との連絡路として、また、岩舟や葛生方面への生活道路として重要な道でした。ここから、清水寺方面に下れば、大平町のぶどう団地やかかしの里に向かうことが出来ます。


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桜峠の名称の由来となった桜の大木。いつまでも元気に綺麗な花を咲かせてもらいたいですね。馬不入山へは桜の木の脇を通り抜けて行きます。


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桜峠から急登を頑張ると馬不入山までは緩やかな稜線の続く路となりまが、この周辺はヤマツツジが多く、松の木も多少残っています。


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左手の大平町からは気象の条件によっては様々な町の生活音が聞こえてきます。こんなところも里山のハイキングコースらしいところかも知れません。


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一旦、稜線に上がってからは特に辛い登りもなく馬不入山の山頂に到着です。


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馬不入山
太平山の山稜の西端に位置するのが馬不入山です。かつては、ここから岩船山まで縦走したものですが、現在では途中で広域農道などの車道を横切るようになってしまったこと、岩船山へ直接登れなくなってしまったことで、その価値は激減してしまいました。太平山縦走路のフィナーレは、岩船山への切り立つ断崖と鉄梯子を登ってたどり着く高勝寺にあったと言えなくもありません。非常に残念です。


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桜峠まで一旦戻り、峠から清水寺へと下山します。峠とを繋ぐハイキングコースは良く整備されており、往時の峠道を彷彿とさせる佇まいです。


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清水寺からは馬不入山方面が眺められます。また、南側は大平町のぶどう畑などが眼下に望め、里山らしい雰囲気に溢れた場所です。ここから、JRまたは東武鉄道の大平駅まで、里の道を歩くことになります。マイカーであじさい坂に停めた場合は、大中寺から日の出山近辺を通ってあじさい坂方面に戻ります。

 

 


 

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