三股の駐車場は賑やかです。深夜でも続々と車が到着する雰囲気。そして、話し声やらドアの開閉音やらエンジン音やら・・・。なので、到着後に仮眠をとるというのは高度なテクニックを要します。さて、平凡な9月の週末でもこんな感じで朝方には満車状態。お盆や紅葉シーズンには気合を入れて挑まないと車、駐車できません。
三股に設置されている公衆トイレ、小洒落た外見の割には小さいので要注意。
三股の駐車場の奥にある車止めゲート。此処から先、林道は続くものの一般車両の侵入は出来ません。
林道をしばらくブラブラ歩いて行くと本当の三股に到着です。トイレや水場もありますよ。
広場の傍らには登山指導所があり登山者カードの提出場所となっています。
山域の見取り図です。まぁ、この地図を当にして登る方はいないと思いますが。
三股からの登山道入り口の様子。林道はここまでとなり、この先は次第に本格的な登山道となっていきます。
沢沿いの気持ちの良い小道です。
三股からすぐに常念岳への道が分岐します。常念岳方面は前常念岳を越えていくハードコース。利用するのは北アルプスに多少慣れてからの方が無難です。
初めての北アルプスの場合には、ここから迷わず蝶ヶ岳に向かいましょう。
吊り橋を渡ります。ここまでは殆ど平坦路です。
少し登ると力水と呼ばれる水場。水量豊富で登山道が水浸し状態。
早々に常念岳と前常念岳を望みます。展望を期待していなかったので嬉しい半面、稜線の見あげる高さに少々うんざり。
カラマツ植林の穏やかな登山道を過ぎると次第に九十九折のキツイ登りになっていきます。少々、辟易してきた頃にまめうち平に到着です。小広い場所には自然木でベンチが作られています。座り心地はいまひとつですが、有り難い休憩場所ですね。
まめうち平から急登はひと段落です。代わりにだらだらとした平坦な登山道が続きます。
登山道沿いにはこのように三股と蝶ヶ岳間の距離と標高を示したブリキの標識が度々現れます。登山に際して良い目安になってとても助かるのですが、経年劣化が激しく判読不明になっていたり、紛失してしまった場所もあるようです。
蝶ヶ岳の頂に立つことが不安になってしまう程、深い針葉樹の森の中、延々と緩い登りが続きます。
大きな沢を横切る場所からは再び常念岳と前常念岳が望めます。対面する山容から判断してまだまだ先は長いとがっかりする場所でもあります。
秋の名残花。
沢を横断した後、再び激しい登りの連続となります。辛いところですが、それだけ一気に高度を稼いでいるわけですな。朽ちたベンチがあるので良い休憩場所と位置の目安になります。
常念岳もようやく本来の三角錐の姿になってきましたよ。もう少し頑張りましょう。
最終ベンチの標高は2,500m。蝶ヶ岳ヒュッテまで1キロ程度を残すのみです。ようやく安心して大休止が出来ますね。
ベンチから望めば蝶ヶ岳周辺の稜線が間近です。稜線が近くなるとつい焦ってしまいペースが早くなりがちです。自分自身にマイペースを言い聞かせて、じっくり登りましょう。

広葉樹と灌木の道をしばらく登ると、大滝山との分岐点に到着。ここは既に蝶ヶ岳山頂直下です。
夏は綺麗なお花畑であったであろう草原を登り、ハイマツを潜ると蝶ヶ岳山頂手前のキャンプ指定地に飛び出します。
まずはテント設営後の記念写真。あぁ〜、いつ見ても美しくも妖しいボクのテント君。
蝶ヶ岳の山頂からキャンプ指定地と蝶ヶ岳ヒュッテを見下ろします。色とりどりのテントで華やいでいますね。ヒュッテ周辺も沢山のハイカーで賑わっています。
テント前でブロッケン現象。ちょっと太ってメタボ気味のプロッケンの妖怪です。
蝶ヶ岳周辺を散歩。
蝶槍まで足を伸ばす気力はありませんがな〜。
夏と秋の狭間を歩く心地よさ。季節の境界線が登山道を横切っているようですね。
こうして秋の気配は静かに訪れるのですね。
頭上は晴れているものの、時刻は既に午後なので雲が湧いてしまって展望はいまひとつ。
蝶ヶ岳の特徴でもある茫漠として捉えどころのない稜線。何処で立ち止まっても昼寝に最適です。
蝶ヶ岳のもうひとつの特徴は二重山稜。無雪期では登山道以外立ち寄れないのが残念。
午後の穂高岳。雲がかかってしかも逆光なので、なにがなんだか判りませんなぁ。光のカーテンが美しいのです。
テント利用の場合、蝶ヶ岳ヒュッテに幕営料を払います。また、有料ですが水も得られます。トイレは外トイレを利用します。ヒュッテ後方が蝶ヶ岳山頂。
明け方、下界はまだ夜の帳に包まれていますが、遠く雲海の彼方は徐々に白み始めています。
太陽の光がオレンジ色のカーテンとなって藍色の空に放射状に拡がって行きます。ちょっと感動的な一瞬です。
間もなく日の出です。風も止んで静まり返る不思議な一瞬。
黒々とした常念岳の上空にはピンク色に染まった雲がゆっくりと流れていきます。
雲の端が金色に輝き出しましたよ。
空と雲の境目からまばゆい光が・・・。
静まり返っていた空気が再びざわめき始めした。
日の出です。
太陽の力ってすごいですねぇ。ミーアキャットの気持ちが判ります。
太陽が昇ると、それまで墨絵のようにおぼろげだった様々なものが、色彩と明確な形状を得ていきいきと躍動し始めます。
凛として峻立する槍ヶ岳。ほんの短い一刻、山々は不思議色に染め抜かれます。
豪快に聳え立つ穂高岳。まさに巨大な屏風ですね。
槍ヶ岳山頂ではご来光を見るために、沢山の登山者が登っているようです。
雲間に顔を覗かせる焼岳の可愛い姿。至近距離から見る荒々しさはあまり感じられませんね。
優雅な乗鞍岳。美しい山容ですね。本当は山裾からゆっくりと登ってみたいものです。マイカーで登れなくなって以降は訪ねていません。
日本のキリマンジャロ、御嶽山。25年くらい前に登ってからは、すっかりご無沙汰です。
今回もA氏とご同行。前日、ボクは蝶ヶ岳登山のみでしたが、A氏はテント設営してから、常念岳を登って常念小屋まで遠征して帰って来ました。とんでもない超人なので歯が立ちません。ほんとうはどうやら燕岳まで行って戻ってこようとしていたらしいですよ。勝道上人の舎弟みたいな方ですなぁ〜〜。
本日の雲海はまさに大海原。蝶ヶ岳山頂自体が大海に漕ぎ出した一艘の小舟のよう。
昨日はいまひとつだった常念の主脈が一望できます。常念岳はさすがに盟主の貫禄ですね。絶妙の山容は美しく且つ堂々としています。
おとなしかった雲海も太陽のエネルギーを得て、徐々に活発に動き出します。
反対側に座す槍と穂高は雲ひとつかからない快晴状態。
北鎌尾根から大キレットを経て穂高まで遮るものがありません。
特に穂高の威容は日本離れした佇まい。
対照的に焼岳が小さく可愛い雰囲気です。
快晴なので槍や穂高に建つ幾つかの山小屋も良く望めます。
これは槍ヶ岳肩の小屋。以前に較べて随分増築されたのかな。
北穂高岳の山頂を望みます。
こちらは北穂山荘が望めます。小屋の背後のピークには登山者が3人ほど。
こちらは奥穂の小屋。右手斜面にはテントが張られています。
こちらは涸沢ヒュッテ。手前は屏風の頭へと続く稜線。
雲湧く常念岳山頂部。
大天井岳方面を望みます。
多分、野口五郎岳でしょう。
う〜ん、水晶岳かな。
こちらは憧れの霞沢岳。 いつか訪問したい山のひとつですね。
さて、名残惜しいのですが、素晴らしい蝶ヶ岳の山稜ともそろそろお別れです。
下山途中、大滝山を望みます。前日、もう少し晴れていれば訪問しても良かったかな。
本日も絵の具を流し込んだような青空がひろがります。
なんとなく色づき始めたようにも見えるダケカンバ。
蝶ヶ岳の上部は明るい広葉樹林。
そして針葉樹の深い森へ。

三股からのルートは初心者も多く利用するとのことですが、登山道はなかなか手強い感じです。マイカー登山が普及した結果、脚光を浴びたコースと言えそう。
下山も膝痛に用心しなければなりません。

力水を過ぎてようやくホッと一息。
吊り橋からの眺めです。
三股の手前、沢沿いの登山道は風情がありますね。ということで無事下山。お疲れ様でした。
●駐車場
三股手前に無料の駐車場がありますが、登山適期は満車になり易いので要注意。
●トイレ
三股手前の駐車場、三股、蝶ヶ岳ヒュッテの各所にあります。
●登山道
危険な場所はありませんが、北アルプスの登山道なので相応にキツいです。初心者同伴の場合、ほぼコースタイム通りと考えたほうが良いかもです。特に前常念岳方面への登山道は無理をしない事。体力のある方は日帰りも可能ですが、それではあまりに勿体無い。蝶ヶ岳ヒュッテで一泊して朝焼けの槍、穂高を見てから下山しても損はありませんよ。
●備考
三股の駐車場へ向かう林道は現在のところ、平日は工事の関係で通行規制が実施されています。週末は問題なく通過できますが平日登山の際は注意してください。幾つかの箇所で法面が大きく崩落しています。前述しましたが、蝶ヶ岳への登山道は問題有りませんが、前常念岳への登山道はそれなりの経験者向きと言えます。
●主観的所要時間
三股の駐車場から約5時間半ほどで蝶ヶ岳ヒュッテに到着です(テント持参の場合)。なので、トレランスタイルで挑めば、
十分日帰り可能な山ですね。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。