●一切経山アプローチ
関東方面からのアプローチであれば、東北自動車道で二本松からミドルラインを経て磐梯吾妻スカイラインと辿ります。2011年7月16日から年内は福島県内の有料道路が無料開放されています。このため、スカイラインの通行料金は浄土平の駐車料金も含めて一切無料。一切経山や東吾妻山へのハイキングは、なるべく早朝到着が良いと思います。時間帯が遅くなると観光客の車で浄土平は混雑します。
●一切経山
一切経山は吾妻連峰の中で唯一の活火山に分類されます。噴気たなびく姿は、東北の玄関口として相相応しい風格です。天候が安定していれば子供連れでも登ることが出来る優しい山でもあります。また、鎌沼や東吾妻山と組み合わせれば丁度良い一日ハイキングコースとなります。近年、火口からの噴気が顕著になったので、登山コースの一部が立ち入り禁止となっています。火山ガスを考慮しての措置で、一切経山の噴火が近々に想定されているわけではありません。このため、酸が平の避難小屋経由での登山ルートとなるので、以前よりも多少時間を要します。
朝の浄土平から望む一切経山。本来の山頂はここからは見えません。噴気が以前よりも勢いを増しているように感じます。
散策用の木道が整備された浄土平。
火口の縁を辿る直登ルートは立ち入り禁止となっていました。
噴気とともに有毒な火山ガスが発生している模様。噴火の可能性による立ち入り禁止ではありません。
緑の衣を纏った蓬莱山とは対照的な姿の一切経山。
姥ヶ原と酸ヶ平方面の分岐。一切経山に向かうには右側のルートを選択します。
右手に一切経山の噴気を望みながら登っていきます。
大地の鼓動が伝わってくるような噴気の流れです。真っ白い煙は水蒸気によるものでしょうか。当面、噴火の心配はないようですね。
蓬莱山と一切経山の鞍部へと向かいます。
広々とした一帯は酸が平と呼ばれている場所。避難小屋がポツンと建っています。
一切経山と鎌沼方面との分岐です。
酸が平の避難小屋はとても立派な建物。トイレ棟も併設されています。
内部も明るくて清潔です。但し、コンクリートを打った土間スペースが大半なので、緊急時などに利用してくださいということでしょうか。
避難小屋裏手の登山道を辿ると展望が広がります。東吾妻山と鎌沼の一部。
直登ルートとの合流地点付近です。ここからはなだらかな小径が山頂まで続きます。
一切経山を望みます。実際の山頂は更にもうちょっと後にあります。
火山地帯特有のゴロゴロ岩道を進みます。後方は東吾妻山。
ひろびろとした一切経山の山頂が見えてきました。
岩と砂地が続く登山道。ロープが張ってあるので視界不良時には心強いでしょう。
一切経山の山頂に到着。
山頂から五色沼を見下ろします。後方は家形山と東大巓へと続く山並み。
光の具合で色味が微妙に変化していきます。とても深い色彩です。
山頂にあるお馴染み空気感謝のチョルテン。私が小学生の頃に登ったときには、既に建っていた記憶があります。40年以上昔の話ですが。
真っ白な雲が踊るように流れていきます。夏ですねぇ。
綿菓子雲は手を伸ばせば掴み取れそうな距離です。
左が空気感謝の石積みで、右手に見えるのが山頂標識と三角点。運動場のように広い山頂です。
吾妻小富士や東吾妻山が望めます。
東大巓や西吾妻、中吾妻の山並み。吾妻連峰はひとつの山塊としてはかなり大きいと思います。各々、個性豊かな山なので日帰りで訪問するのはちょっと勿体無いですね。
帰り道。正面に見えるのは高山です。手前の白いモヤモヤは一切経山の噴気。
山頂を振り返ります。こんなに透明な青空も久々に見ました。
再び、酸が平に向かって下山します。谷間には少しだけ雪が残っていましたよ。
吾妻小富士を望みます。当に富士山のミニチュア版ですね。
直登ルートとの分岐付近です。こちら側にもルートには立ち入り禁止の看板が立てられています。
酸が平の草原と鎌沼。
分岐付近から見た一切経山が吐き出す噴気の様子。
刻々と変化していく噴気の様は見飽きることがありません。
酸が平からは鎌沼へと向かいます。池塘と前大巓。
酸が平からも一切経山の噴気が迫力ある姿で望めます。灰色に見えるのでまるで噴煙のようですが、火山灰が混じっているわけではありません。単なる光のいたずら。
木道の先に鎌沼が見えてきました。
鎌沼の岸辺に降りてみました。水は想像したよりも冷たくありません。浅いので外気温に左右されやすいのでしょう。
湖面は真っ青な青空に呼応するかのように青の漣をたてています。
鎌沼の縁に沿うように木道が設置されているので、広々とした高原散歩が楽しめます。
東吾妻山はなんとも茫洋とした雰囲気。自らの重さで潰れたプリンのような・・・。
鎌沼に沿って半分くらい歩いて行くと、山に遮られて見えなかった反対側が見えてきます。意外に大きい沼ですね。空に浮かんでいるような雰囲気です。
夏の雲が湧き立つ様子を眺めていると、時が経つのを忘れてしまいます。
鎌沼を介して一切経山を望みます。噴気を上げる荒々しさもここから眺めると、美しい風景を構成する要素のひとつといった感じです。
直進すると谷地平へと向かいます。姥ヶ原へは左の木道を進みます。
風に揺らぐワタスゲ。
可愛らしいぽわぽわ頭です。
この辺りで鎌沼とはさようならです。
姥ヶ原周辺から望む東吾妻山。山頂付近までびっしりと生育している針葉樹林と、あまり特徴の無い山容のお陰でかなり不人気です。ところが、実際に登ってみると意外に短時間で登れてしまいます。更に、麓から眺めたイメージとは裏腹に砂礫地の広々とした山頂は360度の大展望。・・・見かけだけで価値判断してはいけないという社会勉強のようなお山です。
姥ヶ原と東吾妻山への道は右方向。左は浄土平へと戻る道です。
正面に吾妻小富士を望みながら浄土平に下ります。
多少、階段が辛い道です。
が、一切経山をちょっと違った形で望めたりします。
今回はシャクナゲ咲く花の小径といった風情。
浄土平に戻りました。鎌沼を含めても半日コースなので、一切経山は初心者の方でも安心して登れますよ。
●駐車場
浄土平の駐車場を利用します。駐車料金は通常410円ですが、2011年11月15日の冬季閉鎖までは無料です。
●トイレ
浄土平と酸が平避難小屋にあります。
●登山道
危険な場所はありませんが、悪天候時は一切経山の山頂周辺などで道迷いに注意。また、以前のメインルートであった火口縁を辿るコースは、火山ガスの影響を考慮して立ち入り禁止です。噴火の心配をする必要はないと思います。
●備考
夏山シーズン中ということと、当日から福島県内の有料道路が無料開放されたこと、浄土平の駐車場が年内は無料化されたことなどの相乗効果で、沢山の登山者と観光客に会いました。
●主観的所要時間
浄土平から一切経山は往復で2時間30分程度。鎌沼を経由するともうすこし時間がかかります。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。