●三岩岳アプローチ
三岩岳の登山口は尾瀬御池に向かう国道352号沿いにあります。小豆温泉にあるスノーシェード付近が登山口となります(新道経由)。目印は日帰り温泉施設「窓明の湯」。下山後、すぐに入浴出来るのでとても重宝しますね。現在、昨年の集中豪雨の復旧作業が続いており、片側通行箇所が多数あるので注意してください。駐車場はスノーシェード内で左折すれば左側に大きな駐車スペースがあります。橋を渡って直進すると「窓明の湯」です。
●三岩岳
三岩岳は会津駒ケ岳の北方に位置する名山です。山体は美しいブナを主体とした森林に覆われており、稜線付近からは針葉樹林となります。林床には季節に応じて様々の花が咲き競います。稜線付近からは湿原や草原が点在し、山頂からは南方の展望が特に優れています。窓明山との分岐付近には三岩岳避難小屋があるので、三岩岳と窓明山を組み合わせたプランもオススメです。なお、避難小屋の水場は時期によって全くアテにならないので、登山道途中にある複数の沢であらかじめ準備する等したほうが良いでしょう。また、窓明山方面に向かった湿原でも良質の水が得られるとの情報も頂きました。
スノーシェード内で左折し、窓明の湯へ向かう道の左側が登山用の駐車スペースとなっています。かな〜り広い駐車場なので満車になってしまう心配は杞憂と言えるでしょう。
スノーシェードの入口まで戻ると、国道の傍らに三岩岳への登山道入口があります。
案内板はスノーシェードの上に登りなさいよと催促しているわけですな。
スノーシェードの屋根に登って進みます。面白いアプローチですね。

ちょっと進むと右手に長い鉄階段がありますので、其処を登っていきます。階段を登ればいよいよ長い登山道が始まります。
黒檜沢周辺は昨年の集中豪雨で相当に荒れている箇所がありますよ。
ブナの調査をしているんだそうな。調査内容はちょっと不明。
山体が地すべりを起こしたと思われる箇所。壮絶であります。しかしながら、登山道は崩落した荒地の中に続いており、しっかり辿ることが出来ます。
黒檜沢を見下ろしながら暫く右岸を進みます。
この季節になると植物達の活力はピーク状態。空気全体がむわぁ〜〜っとしていますですよ。
仮設の鉄板橋で黒檜沢の対岸に渡ります。
黒檜沢はなかなか美しい沢です。

もうひとつの支沢を見送って、今度は黒檜沢の左岸沿いを進みます。ちょっと草木類が纏わりついて、まっこと鬱陶しい区間です。
沢沿いから離れて登山道は次第に急登となっていきます。
木立の狭間から三岩岳と思われる山並みが望めます。まぁ、その高いことと言ったら・・・あそこまで登るのかいと思ったらかな〜り凹んでしまうのです。
ようやく急登が一段落すると登山道は右方向に山体を巻いていくように進みます。付近の樹林は美しいのですが、なんだか滅茶苦茶に気温と湿度が上がって来ました。
穏やかに続く巻き道では幾つもの小沢を横切ります。冷たくておいしい水なのでとても助かりましたよ。ついでに水補給もして行きましたが、これが後々とっても重要な判断となりました(小屋の水場は枯れていたのであったのだ)。
キンコウカが乱れ咲く斜面。まさに夏らしい景観です。
ダラダラとした巻き道から大きな尾根に乗っかりました。尾根上は丁度旧道との分岐地点。立派な地図も設置されています。新道は黒檜沢経由、旧道は尾根通しといった感じです。
新旧登山道の分岐地点。ここでようやく全体の半分ですなぁ。さて、こっからしばらく急登が続きます。気温は益々高くなってくるし、湿度は全開状態だし、・・・山の選択ミスったかなぁ、盛夏に登る山じゃねえなぁ〜、とか、次第に弱気になっていくおっさんでありました。多分、夜明けに入浴した木賊温泉で調子狂ったのかもぉ〜〜。
急登がひとまず終わるとダラダラとした登りが続きます。が、次第に木陰も減って直射日光をまともに受けちゃったりもします。ひ、ひぇ〜、たすけて。・・・という訳で、おっさんは確実に衰弱していくのでありました。写真は三岩岳方面を、意識が薄らぐ中で撮影した貴重な一枚ですな。この後、下山してくる皆さんと情報交換などしながら、しぶとく登って行きましたよ。声かけしてくる登山者の方々がどなたも親切だったので、なんとか元気が出たのかも知れませぬ。
あぁ〜、小屋、小屋、やっと着いたぁ。時間早いけど今日はもう何もしたくありませんぞ。という訳で小屋の中でしばらく思考停止状態。完全に熱中症一歩手前。
内部はなかなか清潔で整頓されています。使用した登山者達の気遣いが伺える良い避難小屋ですね。しばらくすると単独の男性もお泊りということでいらっしゃいました。週末なのでもっと賑わうと思っていたのですが、結局今夜の宿泊者は3名だけでしたよ。ところで、単独行の方のお話を伺ったらどうやら午前中に台倉高山を登って来た様子。・・・う〜む、タダ者ではありませんなぁ。小屋の水場が枯れていたのですが、その方「水を探してきます。」と言ってまもなく綺麗な水を調達して来ましたよ。・・・う〜む、やはり、タダ者ではありませんなぁ。
翌朝起きると単独行の方は既に出発されたようです。もう少しいろいろとお話したかったのでちょっと残念。体調が相変わらずすぐれないものの、昨日より大分良くなったので三岩岳山頂を目指します。
小屋のすぐ裏手が窓明山との分岐です。なので、このような金属プレートが設置されています。
分岐点の様子。窓明山方面へと向かう登山道は三岩岳方面に比較すると若干か細い雰囲気です。
ここまで来ると怒涛の急登はありません。タラタラと緩斜面を登っていく感じです。
ぬかるみは無いものの、朝早いので膝下は瞬く間にびっしょり。
避難小屋から少し登ると木道が現れます。付近は小さな傾斜湿原となっています。
笹に埋もれた道標発見。単独行の方も下りてきましたよ。挨拶を交わして先に進みます。
今度は一面の笹原。
付近は樹高も低いので針葉樹の森にしては明るい雰囲気。
小さな湿原の脇を通り抜けます。池塘の水が抜けてしまっているのが残念です。前方の岩峰が山名由来となった三ツ岩のひとつ。
窓明山を眺めながらちょっと休憩。この辺りも傾斜した草原状を呈しています。
前方には会津駒ケ岳が見えてきましたよ。小高い緑の丘が三岩岳山頂です。付近はまっこと気持ちの良い草原となっていますのです。
山頂に向かって最後のひと登り。避難小屋から先は急登も無く、花々や展望を満喫しながらの楽しい散策となりました。
三岩岳山頂に到着です。針葉樹とシャクナゲに囲まれた小さな山頂です。
南西には会津駒ケ岳のおおらかな山体が横たわっています。至近距離のピークは湿原もあってとても気持ちよさそう〜。
三岩岳山頂から三ツ岩を見下ろします。
確かに三つの岩峰が寄り添っていますね。
小屋での荷造りがあるので頂上を御暇します。
三ツ岩に向かって緩やかに下っていきます。
あぁ〜、なんて気持の良い空間なんでしょうか。
体調不良もこの景色を眺めていると元気になってきすよ。
森に囲まれたミニチュア湿原。

湿原や草原以外の場所にも様々な花々が咲き競っています。
針葉樹の疎林とこのような草原状の場所が交互に現れます。
本日も暑くなりそうな予感。兎に角、暑さと湿気には情けない程抵抗力が無いので心配です。
傾斜湿原に戻って来ました。
本日は窓明山に向かう勇気がありません。眺めるだけで我慢です。目視でも気持ち良さそうな湿原が見えるのでちょっと残念。
避難小屋に戻ってパッキング。ご夫婦と思われる二人連れが山頂目指して登って行きました。
避難小屋下に広がる小湿原。池塘もあって雰囲気の良いところです。
森の妖精とはこんなところに住んでいるのでしょうかね。なんて、柄にも無いこと考えちゃったりして・・・。
緩傾斜の登山道をどんどん下っていきます。
振り返ると緑の海原。

案の定、次第に気温が上がって来ましたよ。下山なのに汗が吹き出して来ます。周囲は針葉樹の森から徐々に広葉樹林にバトンタッチ。下山中、二組のご夫婦と単独行の男性と会いました。

可愛いお地蔵さん発見。この先、旧道と新道の分岐まで急下降となります。

最後の飲料水が無くなる前に小沢を通過。水の補給が間に合いました。付近はブナ等の深い森が続きます。
面倒な山腹のトラバースが終わると再び小さな尾根を急降下。
尾根を外れて黒檜沢の谷に向かってジグザグに降りていきます。あともう少しの我慢。
この辺りまで下りてくると次第に沢音が大きく迫ってきます。
三岩岳のブナ林はなかなか見事です。なので、秋の黄葉時期も期待大ですね。
黒檜沢手前の支沢で大休止。タオルで拭うだけでもさっぱりするので元気が出ます。
崩壊地でちょっと休憩していると、途中ですれ違った単独行の方がもう下りてきましたよ。・・・すんごい脚力ですぞ。
最後は窓明の湯で休憩。登山口の目の前に日帰り温泉施設があるのはとっても有難いのです。 温泉自体はなんという銭湯みたいな感じですがいろんな湯船があって宜しいのです。食事や座敷で休憩も出来ますよ。
三岩岳ではこんな花々を見ましたよ
ヤマアジサイ
ミヤマリンドウ
ゴゼンタチバナ
イワイチョウ
モミジカラマツ
イワカガミ
ハクサンシャクナゲ
ギボウシ
オカトラノオ

キンコウカ
●駐車場
小豆温泉のスノーシェード脇にある広い駐車スペース。
●トイレ
ありません。入湯料を払えば「窓明の湯」のトイレなどを利用できます。
●登山道
盛夏はちょっと暑すぎますね。登山道などよりも自身の体調管理のほうが大切かもしれません。この気温と湿度の中、窓明山を経て日帰り周回するにはそれなりの体力を要します。また、登山道ではマムシに注意。三岩岳の避難小屋は外見はちょっとくたびれていますが、内部はとても綺麗です。避難小屋泊で登山計画すれば余裕を持った山行が可能でしょう。但し、小屋前の水場は夏場には枯れてしまうようなので要注意です。トイレは併設されていません。
●備考
初日には沢山の登山者とお会いしました。二日目も七名の登山者と会いました。
さて、避難小屋では単独行の男性とご一緒しましたが、下山後ネットで拝見したところ、「みー猫の山旅風景写真」を運営しているみー猫さんであると判りましたよ。いつも参考にさせて頂いているブログなのでとても嬉しい驚きでした。
当日は熱中症気味で気の利いたお話も出来ず、大変お恥ずかしい次第です。幸い山選びの傾向がなんとなく似ているので、何れ
何処かの山で
再会出来るかも知れませんね。
●主観的所要時間
往復で7時間程度(休憩含まず)かなぁ。暑さにやられて休憩ばかりしてました。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。