岐阜の山 双六岳 訪問日2010年08月19〜22日 天候 概ね晴れ


双六岳アプローチ
双六岳関東方面からのアプローチは松本まで高速で移動。松本ICから上高地方面へと向かう。沢渡の大駐車場を横目に中の湯へ。ここから安房トンネルを使って新穂高温泉へと走る。現在、社会実験中ということで、安房トンネルは無料。ゲートの開閉に注意しながら通過すること。新穂高温泉の登山者用無料駐車場はちょっと分かりにくい。温泉手前のスノーシェードに入ったら左側を注意して走ること。深山荘を示す小さな看板が左折の目印。スノーシェードを出て蒲田川に降りると無料駐車場に出る。
●双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳
双六岳は北アルプス裏銀座コースに位置する花の名山。その姿はおだやかで懐には多くの氷河地形を巡らせており、花と残雪がとても美しい山。三俣蓮華岳は北アルプスの中心部に位置する山で、岐阜、富山、長野の三県にまたがる。見る位置によってはその姿が大きく変化する。雲ノ平や鷲羽岳からはかなり堂々とした山容に見える。鷲羽岳は火口湖を持った山で三俣山荘から一気に山頂を目指すルートは北アルプス縦走の愉しさを凝縮している。登るほどに広がる大展望は登高の疲れを吹き飛ばしてくれる。


双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳 ハイキングルート

双六岳新穂高温泉の登山者用無料駐車場。収容台数は多いのですが、それでもシーズン中は早朝には既に満車状態です。前日中に到着しないとかなり厳しい感じです。


駐車場の一番奥に遊歩道のように続いた小道が新穂高温泉に向かう近道。交通量の多い車道を避けて通るので利用価値は大きいです。


新穂高温泉の様子。上高地と異なり両面から山々が迫ってくる雰囲気。ここから笠ヶ岳方面の山々が迫力ある姿を現します。


蒲田川左股林道は新穂高温泉のバスターミナルで橋を渡ります。直進してロープウェイの駅を通りすぎると槍ヶ岳に向かってしまいます。気づくのが遅かったら仕方が無いので槍ヶ岳に登ってください。 笠ヶ岳や鏡平方面を示す道標は林道の傍らに頻繁に出現します。


わさび平までは一時間以上の道程。焦っても仕方ないので、マイペースで歩きましょう。未舗装なら楽チンなのですが、舗装部分も多いので、あまり力み過ぎると登る前から足がやられてしまいます。


林道からは笠ヶ岳山塊の東面が良く望めます。二千数百メートルまで立ち上がる巨大な壁は迫力満点。


分岐には必ず道標があるので安心です。


お助け風と記された天然エアコン。あまりの涼しさにしばらく頭を突っ込んで堪能。あぁ〜、自然の不思議は素晴らしい。


などと、寄り道しながら歩いていると、欄干が変形した中崎橋を渡ります。


新穂高温泉から約一時間、笠ヶ岳へと向かう笠新道の登山口に到着です。わさび平から引水された水場もあります。


飛騨森林管理署が記した笠新道の案内板、なんだかお気軽に登れそうな文面。でも実際は・・・。この後、笠新道を辿り杓子平手前まで登りましたが、時間的猶予を考えて敢え無く退散。なにしろ二千メートル地点まで時間が掛かり過ぎました。


笠新道を降りて失意の果てに辿り着いたわさび平小屋(笑)。笠の登山口から10分くらいです。トイレは簡易水洗で清潔です。水関係は稜線の小屋ではないので贅沢に使えます。小屋の右手から森に向かうと指定キャンプ場です。


キャンプ場の様子。テント山行でなかったら笠も登れましたぞ。などと負け惜しみ。ということで、本日は車から一時間少々の地点で幕営するという事態に・・・。夜半は雨。


翌日、気持ちをリセットして小池新道に向かいました。林道が橋を渡って対岸の奥丸山に向かってしまう場所が小池新道のスタート地点です。秩父沢を介して雲間に弓折岳方面の稜線が見えています。本日の目的地は稜線を越えて双六小屋まで。テントなので鏡平で一泊は出来ないのです。


小池新道の起点は道標も多く賑やかしい雰囲気です。


最初は沢沿いのガラガラした道をすすみますが、次第に潅木の中の急登となります。振り返ると尋常でない高さに山々の稜線が望めます。槍ヶ岳から穂高へと続く峰々です。まさに天然の長城ですな。


今夏の猛暑は北アルプスでも容赦無い雰囲気。体が濡れ雑巾と化した頃ようやく秩父沢に到着。なんか前方からは期待できる轟音が・・・。 


深い谷間に横たわる雪渓からは冷気とともに豊富な雪解け水が流れ出していました。大休止に調度良い場所ですね。貴重な水場はこの秩父沢ともうちょっと先にある秩父小沢の二箇所。


チボ岩という名前のついた巨岩帯をトラバース。このような岩石帯を幾つか越えていきます。


唐突にイタドリヶ原の看板。この周辺からは性悪な羽虫に要注意。この記事を書いているいまでも刺されたところの腫れがまだ痒いのです。ちょっと立ち止まるとたちまちボコボコにされます。最近流行の山ガールスタイルは油断禁物。タイツの上から刺す輩なので、虫除けスプレーか虫除けジェルなど防衛アイテムは必携。


名物の直登コースは通行止めだそうな


ジグザグコースを登り切るとシシウドヶ原に到着。む、む、虫が多いぞぉぉ〜。


シシウドヶ原には小洒落たベンチがあります。設置、ご苦労様です。


シシウドヶ原からは弓折尾根に向かって水平にトラバース。尾根に乗っかると再び急登となりますが、時折、木道を歩くようになれば鏡平までもう少しです。


熊の踊り場などという場所がありますが、実際に熊が踊っていたら速攻で逃げましょう。くれぐれも一緒に踊らないように。


わ〜い、やっと着いた鏡池。・・・ガスで槍も穂高もなんにも見えねえ〜(泣)。


鏡平ではかき氷を注文。あぁ〜、しあわせ。ついでにカレーライスも食べる、え〜ん、おいしいよぉぉ。・・・こうしてすっかり戦意を失っちゃいました。


小屋泊まりの甘い誘惑を振りきって、鏡平山荘から木道を辿り弓折岳乗越へと向かいます。


鏡平には鏡池以外にも小さな池が点在しており、雲上の別天地です。

 


潅木帯の中をひと登りすると、弓折中段という場所に着きます。ここは、まだ稜線ではないのですが、森林限界となるので俄然周囲の展望が良くなります。ここからさらに弓折岳の中腹を、稜線に向かって斜めに登っていきます。傾斜が比較的緩いので助かります。


こんな雰囲気の道を歩いていきます。周囲は花も多く楽しい道。


ようやく笠ヶ岳と双六岳を結ぶ稜線に辿りつけました。けれどもやはり午後の稜線はガスがかかって視界が悪いのです。


笠ヶ岳はやはりこちらのルートから訪問したほうが楽チンではないかと。辿り着いた弓折岳の鞍部下にはベンチもあって休憩処として最適。


鞍部からちょっと登った場所が弓折岳分岐。ようするに交差点ですな。


小さなアップダウンはあるものの、それまでの急登からはやっと開放されます。お花畑の広がる小道を、のんびり双六小屋へと向かいます。


ガスの切れ間からすごい山が見えました。久しぶりの鷲羽岳。


花見平付近。生憎の天候ですが晴れていれば槍・穂高を望む絶好の展望台です。ベンチもあります。


お花畑と木道と池塘。なかなか素敵な稜線です。


この辺りの標高は低いのに雪も残ってます。


稜線を辿る道が山腹を巻くようになると、双六小屋はもうすぐです。鷲羽岳を背景に双六小屋の赤い屋根とキャンプ場の色とりどりのテント達。登山道は小屋に向かって緩やかな下り坂。最後は木道を辿ると小屋前広場に導かれます。


双六小屋は病院付き。シーズン中だけですがとても心強いですね。


広場横にある外トイレと水場。水場の後ろが双六岳へと向かう登山道です。


双六小屋の正面入口。やはりこの辺りでは一番大きい小屋ですから、「小屋」という名称が似合う雰囲気ではありません。 道の駅みたいな感じです。双六駅・・・みたいな。


早速の食事・・・もちろん、コンロも食材も持ってきてますが、お手軽な誘惑に勝てませんでした。あぁ〜、なにもしないでご飯が食べられる心地良さ。


双六小屋のキャンプ指定地はとても広いです。が、良く観察するとベストな設営場所は意外に少ないのです。


なんとか傾斜がなく流水の影響も無さそうな場所を発見。迷わず設営。ながい一日でした。


翌朝の日の出。燕岳と大天井岳の間から陽が昇ります。みなさん、小屋前広場でミーアキャット状態。


双六岳にも太陽の光が射し込みます。この時間にはもう沢山の方が双六岳へと向かっています。


キャンプ指定地から望む抜戸岳と笠ヶ岳。こうして眺めると独立した立派な山塊です。


双六岳へと向かう登山道は登るほどに沢山の山々が見えてくるのでとても楽しいです。


茫漠とした双六岳の姿。まぁ、溶けかかったソフトクリームみたいな。


振り返ると槍ヶ岳から穂高へと続く稜線が望めます。午前中はどうしても逆光気味ですが。


双六小屋からひと登りで三俣山荘へと続く巻き道との分岐です。展望の良い稜線の道も良いけれどカール底を繋げて歩く巻き道ルートも楽しいです。今回は帰路に使うことにします。


丸山、三俣蓮華岳、爺岳、水晶岳、鷲羽岳と黒部源流の山々が並びます。


本日は鷲羽岳を往復します。結構距離がありますが、今日だけは荷物が少ないので楽勝ですぞ。


丸山と三俣蓮華岳。ハイマツの中に続くのが巻き道ルート。


さて、まずは直進して双六岳へと向かいます。


こちら側から登るのははじめて。こんなに大きな山だったんですね。全体が広角レンズのカメラでも入りきらないです。


気持ちの良いカール底の散歩道は徐々に傾斜を増して・・・。

 


登山道は正面突破という雰囲気。まっすぐ突き進みます。


双六岳は女性的でたおやかな山・・・などと言っていられない状況になってきました。ということで、続きは次回。



●駐車場
新穂高温泉の登山者専用駐車場が無料です。他は概ね有料なので数日間の山行で使用するには向いていません。シーズン中は混雑するので前日到着が鉄則。ただし、無料の代償ということで新穂高温泉のバスターミナルまでは数分程度歩かなくてはなりません。
●トイレ
駐車場に簡易トイレ、バスターミナル及び各山小屋にあります。小屋数が多いので、笠ヶ岳以外はトイレの心配はありません。
●登山道
危険な場所はありませんが、悪天候時は稜線などで道迷いに注意。また、10月にもなると降雪もあるので要注意。
●備考
夏山シーズン中ということで数えきれない程沢山の登山者と会いました。それでも、縦走路が賑わうのは早朝から午前中にかけての時間帯。午後になるととても静かな山歩きが出来ます。
また、駐車場に近い深山荘は500円で日帰り入浴可能。特に蒲田川に面した露天風呂がお勧め。
●主観的所要時間
新穂高温泉から双六小屋までは7時間くらい。双六小屋から鷲羽岳往復も7時間くらい。
但し、軽い荷物にすればもっと短時間で周回出来ます。双六小屋からの下山時間は新穂高温泉ま
で5時間30分程度でしょう。なお、笠新道は小屋泊まりでコースタイムどおり、テント縦走となるとコー
スタイムをオーバーすると考えといたほうが良さそう。笠新道の下山も案外時間を食います。双六方
面の登山道を国道にたとえるならばこっちは林道といった雰囲気。道が悪いのであんまり飛ばせな
いのです。

この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。

 

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