●双六岳アプローチ
関東方面からのアプローチは松本まで高速で移動。松本ICから上高地方面へと向かう。沢渡の大駐車場を横目に中の湯へ。ここから安房トンネルを使って新穂高温泉へと走る。現在、社会実験中ということで、安房トンネルは無料。ゲートの開閉に注意しながら通過すること。新穂高温泉の登山者用無料駐車場はちょっと分かりにくい。温泉手前のスノーシェードに入ったら左側を注意して走ること。深山荘を示す小さな看板が左折の目印。スノーシェードを出て蒲田川に降りると無料駐車場に出る。
●双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳
双六岳は北アルプス裏銀座コースに位置する花の名山。その姿はおだやかで懐には多くの氷河地形を巡らせており、花と残雪がとても美しい山。三俣蓮華岳は北アルプスの中心部に位置する山で、岐阜、富山、長野の三県にまたがる。見る位置によってはその姿が大きく変化する。雲ノ平や鷲羽岳からはかなり堂々とした山容に見える。鷲羽岳は火口湖を持った山で三俣山荘から一気に山頂を目指すルートは北アルプス縦走の愉しさを凝縮している。登るほどに広がる大展望は登高の疲れを吹き飛ばしてくれる。
双六岳でもっともきつい場所かな。ここを越えれば大丈夫。
振り返ればワリモ岳の左側に水晶岳が見えています。
双六岳の山頂が見えました。なんて優しげな山頂なのでしょうか。
岩屑の平原をテクテクと歩いていきます。ここは急ぐのが似合わない小径です。
山頂手前で振り返ると槍ヶ岳が天空の城のように聳えています。
双六岳の山頂に到着しましたよ。
皆さん、満面の笑顔ばかりです。こんな景色を互いに分かち合うと、心までたおやかになるのでしょうか。
前回は槍ヶ岳での集合時間を気にしながら駆け抜けたのであまり記憶にありません。双六岳さんには大変失礼な登り方をしてしまいました。なので、今回はゆっくりと山頂で一時を過ごします。
紺碧の空は宇宙への扉。
さて、今度はゆっくりと丸山方面へと向かいます。忠実に稜線どおしに歩いていきます。
稜線の右側には大小幾つものカールが続いています。
双六岳の山頂を振り返ります。
とても穏やか且つのびやかな稜線が続きます。
縦走路からは常に槍・穂高連峰が望めます。
丸山を過ぎると前方には薬師岳や水晶岳などが望めます。ぽか〜んと景色を眺めながら歩いても大丈夫。立派で歩きやすい登山道に感謝。
三俣蓮華岳が正面に見えています。丸山の山頂から暫く平坦な道が続きましたが、ここから一度大きく下って登り返します。
三俣蓮華岳への登り道。丸山側は急登ではないので、三俣山荘から登ってくる時よりは楽チンですね。
三俣蓮華岳に着きました。ここも何度か訪れていますが、いつも単なる通過地点として通り過ぎていました。三俣蓮華岳さんには大変失礼な登り方をしてしまいました。なので、今回はゆっくりと山頂で景色を堪能することにします。
僕の大好きな山のひとつ、黒部五郎岳。残念ですが今回は再訪できません。
水晶岳と黒部の源流地帯。あぁ〜、こちらも再訪出来ませんな。短い夏休みが恨めしいですぞ。
祖父岳と赤牛岳と立山連峰。読売新道を歩いた遠い記憶が蘇ります。
双六岳と並んで三俣蓮華岳からの眺望も一級品です。
今回はせめて鷲羽岳までは行ってみようと思います。
三俣蓮華岳から望む槍・穂高連峰も感動的。
もっとゆっくり昼寝でもしたいのですが、鷲羽岳を往復するので三俣山荘に向かいます。

三俣蓮華岳の山頂から三俣峠までは短い距離ですが岩屑の不安定な急斜面。なので、転倒しないように真面目に降ります。
峠から振り返る三俣蓮華岳の山頂部。帰路はここから双六岳への巻き道を使う予定です。
丸山を望みます。三俣蓮華岳、丸山、双六岳と続く山並みの東側は、北アルプスでも有数のカール地帯です。
角度を変えると見慣れない姿の三俣蓮華岳。
ハイマツを掻い潜ると三俣のキャンプ場に飛び出します。以前と較べると少しだけ登山道の位置が変わったようですね。植生保護とかそのような意図だと思われます。
三俣山荘に到着。この後、迷わず展望レストランでコーヒーを頂く。

山荘前の道標。道標に従い鷲羽岳方面へ。
鷲羽岳を望みます。いつ見ても格好良いのです。伊藤新道がまだ目視で確認出来ますね。廃道になる前に歩いておけば良かったと悔やまれます。
ザラザラグズクズの岩屑の道をせっせと登ります。ちょっと雲が増えてしまって残念。呑気にコーヒーなんぞを啜ってたのがまずかったかな。
振り返ると三俣蓮華岳と赤い屋根の三俣山荘。良い眺めだなぁ〜としみじみ噛み締めるよりも、帰りにまたあそこを登り返すのか・・・と思うとゾッとします。
鷲羽岳の下半分は岩屑グズグスの道ですが、上半分は次第に巨岩が積み重なる道となります。
鷲羽岳の山頂部が見えました。
鷲羽岳の山頂に到着。うぅ、過去3回ともガスっていたのですが、今回もやっぱりガスの中。なんでや〜。
それでもかろうじて野口五郎岳さんと三ッ岳さんが見えましたよ。
ワリモと水晶岳はさっぱりですな。
でも、鷲羽の火口湖、鷲羽池が見えました。あぁ〜、なんて素敵な場所なんでしょう。湖畔で一晩過ごしたら気持良さそう・・・勿論、禁止だけど。
活動期間はどの程度だったのでしょうか。とても綺麗に残された火口なので、最近まで活動していたのではないかと、つい勘ぐってしまいます。湯俣や硫黄沢周辺の活動も同系列なのでしょうかね。
振り返れば・・・あぁ〜、こちらも火山さんでした。祖父岳と雲ノ平も溶岩台地というやつですね。
下山路から三俣蓮華岳、丸山、双六岳の連なりを望みます。むぅぅ、双六岳の更に向こうの鞍部まで戻らなきゃ・・・遠いぞ。
駆け下りてきた鷲羽岳を振り返ります。
そして、更に怒涛の勢いで三俣蓮華岳に取り付きます。
三俣峠を過ぎて巻き道ルートへ。後方は三俣蓮華岳。
この辺りまで離れると三俣蓮華岳もなかなか格好良いです。
この巻き道ルート・・・意外に曲者です。後半は双六岳の肩に向かって登り一辺倒。
カール底は別天地のように美しいのですが・・・辛い。
やっと登りついた双六岳の肩。
巻き道ルートを振り返ります。山襞を丹念に拾うので案外手間がかかります。
さてこの後、双六小屋で再びカレーライスを注文。・・・あぁ、せっかく持ってきた食料が全然減りません。
4日目の朝。・・・今日は寝坊しました。本日も夏山らしい快晴の朝です。笠ヶ岳が「おっさん、なんで来なかったの」と言ってるようで・・・とっても悔しいで〜す。
荷物をまとめて下山です。双六小屋の後ろには昨日登った鷲羽岳が颯爽と峻立しています。
帰路は快晴なので、楽しい展望の小径です。槍ヶ岳へと向かう稜線が城砦のように聳えます。
こちらは河原の土手道のようです。アップダウンも小さいので楽チンです。
へぇ〜、こんな素敵な場所だったのかぁ。登ってくる時はガスっていたので全然判りませんでした。
どっか〜ん。
もう一回・・・どっか〜ん。
・・・帰りたくない。
あぁ、仕事したくねぇ。
などと、いい歳してぼやいていても仕方ないので下ります。

刻々と山の表情は変わっていきます。いつまで眺めていても飽きることがありません。
抜戸岳へと素晴らしい稜線は続いていきます。
眼下には鏡平山荘が見えています。ウッドデッキでかき氷食べてるおっさんが見えますよ。
鏡平への分岐。今回も楽しい時間を用意してくれた北アルプスの山々に感謝です。
鏡平到着。足元にあった山々もいつしか見上げるような高さに。
夏の鏡池。なかなか絵葉書のようには撮れませんね(笑)。
鏡平から望む登山道の取付き付近。あまりの遠さにちょっとたじろぐ。
体の動き方がなんとなくホンダのアシモ君のようになってしまった頃、無事に新穂高温泉に下山。お疲れさまでした。

●駐車場
新穂高温泉の登山者専用駐車場が無料です。他は概ね有料なので数日間の山行で使用するには向いていません。シーズン中は混雑するので前日到着が鉄則。ただし、無料の代償ということで新穂高温泉のバスターミナルまでは数分程度歩かなくてはなりません。
●トイレ
駐車場に簡易トイレ、バスターミナル及び各山小屋にあります。小屋数が多いので、笠ヶ岳以外はトイレの心配はありません。
●登山道
危険な場所はありませんが、悪天候時は稜線などで道迷いに注意。また、10月にもなると降雪もあるので要注意。
●備考
夏山シーズン中ということで数えきれない程沢山の登山者と会いました。
それでも、縦走路が賑わうのは早朝から午前中にかけての時間帯。午後になるととても静かな山歩きが出来ます。
また、駐車場に近い深山荘は500円で日帰り入浴可能。特に蒲田川に面した露天風呂がお勧め。
●主観的所要時間
新穂高温泉から双六小屋までは7時間くらい。双六小屋から鷲羽岳往復も7時間くらい。
但し、軽い荷物にすればもっと短時間で周回出来ます。双六小屋からの下山時間は新穂高温泉ま
で5時間30分程度でしょう。なお、笠新道は小屋泊まりでコースタイムどおり、テント縦走となるとコー
スタイムをオーバーすると考えといたほうが良さそう。笠新道の下山も案外時間を食います。双六方
面の登山道を国道にたとえるならばこっちは林道といった雰囲気。道が悪いのであんまり飛ばせな
いのです。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。