●天狗岳アプローチ
天狗岳へのアプローチは国道141号線を使います。松原湖入口の交差点から松原湖方面へと向かい、松原湖からは稲子湯を目指して走ります。山道らしいカーブの多い道になってくると、左手に本沢温泉を示す看板があるので左折します。あとはそのまま道なりに走れば本沢温泉入口に到着します。入口付近で20台程度の駐車が可能。更に、林道終点では数台程度駐車出来ます。一般車で終点まで向かうのはあまりお勧め出来ません。
●天狗岳
天狗岳は八ヶ岳の中央部に位置し、北八ヶ岳と南八ヶ岳、双方の特徴を兼ね備える山として有名です。更に、冬季のアプローチの良さから、初めての冬山を天狗岳で経験した方もいるのではないでしょうか。天狗岳は八ヶ岳の中でも通年賑わう人気の山となっています。東天狗岳の標高は不明ですが、西天狗岳は2646mを誇り、立派な中級山岳と言えます。鬱蒼とした針葉樹に囲まれたアプローチは北八ヶ岳らしい佇まいですが、稜線に上がれば明るい白砂とハイ松に縁どられた高山の風貌です。360度の展望を楽しみながら東天狗岳から西天狗岳へと雲上散歩するのも良いですね。・・・今回は何にも見えませんでしたがね。
本沢温泉入口までは舗装されています。車のキズひとつで人生が真っ暗になってしまう方は、ここに停めて歩いた方が良いでしょう。駐車場と呼べるような場所に数台、路肩に沿って十数台程度駐車出来そう。いずれにしてもシーズン中は早めに着かないと宜しくない感じです。
本沢温泉へと向かう林道の入口。ここから先は未舗装の林道となっています。一般車も入れますが車高の高い4WD以外の車では難儀しそうです。

入口にはこんな看板が立てられています。登山口ではありますが温泉も有名なので、登山目的以外の方々も大勢訪れているようですね。今回は朝方まで雨が降っていたので車内待機。出発もえらい遅くなりましたよ。
小一時間も歩くと車両が進入出来る終点に到着です。ごっつい4WD車に交じって普通の軽自動車も停まっていますよ。ここまで結構な悪路なのに根性の座った方ですなぁ〜。
ゲートが設置されており、こっから先は車での進入は出来ません。本沢温泉までは、更に一時間程度歩くことになります。
で、なかなか雰囲気の良い小道ですよ。「孤独な散歩者の夢想」的な気分でありますです。

同年代のチャリンコ野郎と遭遇。格好良いから写真撮らせてねとお願いすると、わざわざ2シーンを決めてくれました。感じの良いおっさん二人組でしたよ。八ヶ岳を自転車で楽しむなんてオシャレですなぁ〜。
バス停でもあるかのようなベンチがひとつ。きっと、夕刻になると猫バスが通るのでしょうね。
そろそろと色づいた葉っぱ。役目を終えて少しずつ透き通っていきます。
無心に歩くのも良し、思索に耽りながら歩くのも良し。
本沢温泉の手作り看板が素晴らしい〜。疲れた体も癒されますなぁ。行政の写真付ドヤ顔上から目線看板など設置して欲しくないですぞ。どうせ税金なんだから。
硫黄岳の火口壁が垣間見えますよ。宜しい感じです。
みどり池との分岐です。ここまで来ると本沢温泉までもう少し。周囲の森が素晴らしい佇まいなので、黙々と歩いてしまうのが少々勿体ない。
ここにもかわいい手作り看板。
本沢温泉手前のキャンプ場に着きました。色とりどりのテントが咲いています。・・・秋の毒キノコみたいですな。
で、早速にテントを設営。週末なので結構混雑しています。良い場所を探すのが大変なのです。木立の中のキャンプ場なので地面の具合は良い感じです。本沢温泉とキャンプ場の間にある二本の水流のうち、キャンプ場側を流れる水は煮沸すれば飲用出来るそうです。但し、本沢温泉まで行けば飲料水は無料で調達出来ます。トイレもキャンプ場内には設置されていないので、本沢温泉の建屋内のトイレか外トイレを利用することになります。何れもチップ制の有料で、ちょっとキャンプ場から遠いです。幕営料金も含めて効率良く往復しないと何度も行ったり来たりする羽目になります。
キャンプ場から少し歩くと本沢温泉に到着。立派で且つ雰囲気のある小屋ですね。登山目的の方と温泉目的の方が混じり合ってる感じです。小屋前のテーブルベンチはいつも賑わっています。

本沢温泉の露天風呂は日本最高所なんだそうです。おじさんも入浴券を買ってしまいましたぞ。六百円です。本沢温泉は天狗岳方面と夏沢峠への分岐点にもなっています。
天狗岳への登路は本沢温泉の裏手、資材が散乱してかなり地味な雰囲気を醸し出しています。屋外の仮設トイレを右手に見ながら取り付きます。
道標登山道整備してありますの看板。わざわざお断りしているところが微妙に不安感を煽りますが・・・。本沢温泉からダイレクトに天狗岳へと向かうこの登山道は「白砂新道」と呼称されています。
錦色の山々というには程遠いのですが、これくらいのほうが絵葉書的では無いので、反って印象的で味わい深いものがあります。
散々に荒れた河床を渡ります。適当に踏跡とテープがあるのでそれを辿ります。
対岸に渡るとしっかりした道が続きますが、いきなりの急登が始まります。
頭上には時折青空が・・・。
谷を隔てた山々を望むと、まだまだ頑張って登らなければならない雰囲気。
概ね整備された道が続きますが、時折そのまま進んでしまいそうな箇所が二か所程あります。どちらもグリーンのロープで塞いであるので注意してください。
白砂新道は大きな尾根に乗った登山道ではないので、地形的には割と複雑な感じです。

鬱蒼とした平坦地に着くと稜線までもうすぐです。目立った場所に標識もあるので確認に便利です。

こっから先は急登も一段落。針葉樹の薄暗い森から広葉樹の森へと変わっていきます。
もう少し天気が良ければ映えるのですが。なかなか素敵な場所が続きます。

草付のガレた場所を通過します。ここを登り切れば稜線です。遅くまで雪が残っている斜面なので道もかなり不安定な区間です。
ガスが流れる生憎の天気ですが、亜高山帯独特の幽玄とした雰囲気は堪能出来ますなぁ。
長い間の役目を終えようとしている標識。
稜線下の樹林帯。厳しい気候で独特の姿。皆、個性的なダンサーのようです。
稜線に出ましたよ。根石岳と東天狗岳の鞍部になっている場所で、八ヶ岳の縦走路と此処で合流となります。
東天狗岳方面を望みます。・・・素晴らしいガス景観です。
根石岳方面を望みます。・・・こっちも見事なガスっぷりです。
仕方ないので黙々と東天狗岳へと向かいます。展望は全くダメなのに行き交うハイカーはとても多いのです。
東天狗岳のシンボル鉄製の橋を渡ると東天狗岳の狭い山頂です。
東天狗岳に到着。真っ白で素晴らしい眺めです。
山頂は風がまともに当たって厳しい雰囲気なのですが、皆さん、真っ白な空間を睨みつつおにぎりなどを意地でほおばっています。
東天狗岳から西天狗岳に向かいます。
少しだけ降りて平坦路を進むと緩やかに西天狗岳への登りとなります。
こんだけなんにも見えねぇと東だろうが西だろうがどうでも良いんですけどね。かなり開き直って歩いてます。
西天狗岳の山頂に着きましたよ。
三角点が土壌ごと剥離してしまいそうです。
・・・大賑わいの西天狗岳山頂です。
真っ白な眺めを堪能したので今度は根石岳を目指します。
こりゃ、もう一回来るしかねぇなぁ〜、とぼやきつつ振り返る。
一瞬、ガスが晴れたので根石岳が望めましたよ。
天狗岳と根石岳の鞍部から東方の斜面を望みます。
振り返り見た東天狗岳と西天狗岳。小さくて可愛いのです。

白砂新道への分岐を見送って根石岳へ。根石岳も標高の割には小さな山です。
箕冠山と雲を纏った硫黄岳。
根石岳から白砂新道の分岐周辺を望みます。この辺り、とても気持ちの良い縦走路ですね。
地味な雰囲気の根石岳山頂。2603メートルもあるんですね。
根石岳から根石山荘横を通って、今度は箕冠山へ向かいます。周辺はコマクサの群落地でもあります。
振り返って見た根石岳。・・・どう見ても山という雰囲気ではありませんなぁ〜。晴れた日にのんびりスケッチなんぞするには最高の丘であります。
根石山荘からひと登りで箕冠山に到着。樹林帯の中の交差点みたいな場所。東天狗岳と西天狗岳、根石岳や箕冠山は比較的狭い範囲にまとまっているので移動が楽チンです。
山頂には付近の案内図が設置されています。仮設トイレは使用禁止の模様。ここでオーレン小屋方面と夏沢峠方面に分岐します。
いい感じで色づいてます。

箕冠山から夏沢峠間は針葉樹の道。殆ど展望が開けることはありませんが、歩き易い道でもあります。

夏沢峠に到着。峠は変則十字路になっていて、直進すると硫黄岳へと向かいます。手前の標識から右手はオーレン小屋への道、小屋を挟んで奥の標識から左手は本沢温泉へと下る道となります。
小屋の色が明るくなりましたなぁ〜。


本沢温泉へと下る道はとても歩き易い道です。小一時間で本沢温泉へと下れます。

針葉樹に混ざって鮮やかな紅葉が楽しめましたよ。
本沢温泉付近まで下ってくると火山らしい地形が現れます。

登山道からは本沢温泉の露天風呂へと向かうことが出来ます。入浴券買ったので早速寄ってみることにしましたが、・・・う〜ん、順番待ちの行列が出来てましたよ。おじさんは人見知りするタイプなので敢え無く敗退しましたとさ。
●駐車場
本沢温泉入口の路肩などに20台程度。4WDなどの車両であれば林道終点まで入れます。終点で数台程度。
●トイレ
本沢温泉のトイレ、夏沢峠の仮設トイレなど。
●登山道
本沢温泉まではよく整備された道です。本沢温泉から天狗岳に向かう白砂新道は、多少地形が複雑で急登が続きます。下山で使用する場合は、転倒や道迷いに注意。天狗岳から夏沢峠までは、八ヶ岳縦走のメインルートなので道標も多く特に問題はありません。夏沢峠から本沢温泉は九十九折の幅広の道が続きとても歩き易いです。
本沢温泉のテントサイトは木立の中に散在している感じです。利用料金は一人600円、ついでに露天風呂も入りたいぞという場合は、更に600円追加。トイレはキャンプ場内には無く、本沢温泉のトイレを有料使用することになります。小屋前には水場もあって無料です。キャンプ場際の小沢は煮沸すれば飲用出来ます。
●備考
天狗岳では数えきれない程の登山者と遭遇しました。天候が悪くても人気の山は違いますなぁ〜。
●主観的所要時間
本沢温泉から周回する場合は概ね4時間30分程度(休憩含まず)。逆回りの方が多少早いかも知らんです。本沢温泉と本沢温泉入口の間は往復で4時間程度かかります。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。