●山形神室・仙台神室アプローチ
山形自動車道の笹谷IC下車して左折。国道286号を県境の笹谷峠に向かう。全線舗装であるが道幅は狭く、ブラインドカーブも多いので軽率な運転は禁物。笹谷峠付近は一面笹原が広がる高原状の場所。ゲートを過ぎて右側に駐車場がある。車であっても峠近辺には複数個所の駐車スペースがある。若い人たちの間では心霊スポットとしての知名度のほうが高いかもしれないが、登山者はその程度でビビッてはいけない。峠で仮眠するぐらいの度量が欲しい。
●山形神室・仙台神室
かむろの名を冠した山は東北地方に結構多い。山名由来は博学な方々にまかせるとして、山形笹谷峠に近い神室岳は何故か同名で隣接して二山ある。そのため、峠側のピークを山形神室、更にその奥に座すピークを仙台神室と呼んでいる。実際に登るとそれぞれの際立つ個性に触れることが出来る。片方だけの登山はいかにも勿体無いので、新緑や紅葉の時期に双方の山を訪ねるのがお勧め。
山形自動車道から国道286号線を走りようやく笹谷峠に到着しました。峠は一面の笹原で樹木は疎らです。峠には駐車場と年季の入ったトイレがありました。
駐車場脇に登山道への入り口があります。写真の道標が目印です。入り口部分だけは石畳のように路面を整えているので良く目立ちます。
峠の道標。いろいろな小道が錯綜しているようですが、視界が良いときは特に問題ないでしょう。
気持ちの良い峠ですが送電線と鉄塔がちょっと・・・。
笹谷峠から見たハマグリ山方面です。標高のわりに高山的な雰囲気。直接山形神室を望むことは出来ません。
道標に従って山形神室への登山道を辿ります。
振り返れば蔵王の山々が。さすがに残雪が多いです。
見下ろせば先ほどの駐車場が。視界を遮るものが殆どない登山道。
雲の切れ間から山形市街が見えます。
朝方までの荒れた天候が嘘のように回復していきます。

ようやく山形神室の美しいシルエットとご対面。まだまだ遠いです。左がトンガリ山、右が山形神室。
振り返れば雁戸山と笹谷峠。随分登りました。
登山道はこんな雰囲気。
ハマグリ山手前から山形神室。草原の斜面に登山道がくっきりと見えています。

ハマグリ山山頂。雲が取れて雁戸山も姿を現しました。雁戸山。多少雪も残っています。
ハマグリ山山頂の道標。確かにハマグリがくっついてます。山頂というよりも尾根の突起といった雰囲気。
山形神室の勇姿。ブナの新緑が稜線に向かって駆け上がっていく様子が良く判ります。ここまで登ると仙台神室も姿を現します。
仙台神室はなんだか凄みのある山容です。
優雅な佇まいの山形神室とは好対照。残雪の大きさを比較すると例年同時期よりもかなり少ないようです。温暖化の影響でしょうか。

それでも眼下ではブナの新緑と残雪が素晴らしいコントラストを見せています。残雪に新緑という東北の山々らしい光景です。
急登を頑張るとトンガリ山の山頂。見上げると立派だった山容も、辿りついて見ると通過点といった雰囲気。

谷間の雪渓。その谷間を見下ろす風雪に耐えた木々。風と雪が生命と連携して作り出した造形でしょうか。
トンガリ山からの山形神室。高原のような起伏と草原が続きます。
山形神室の山頂。標高表示入りの立派な山名板が欲しいところ。この表示ではなんとなく通過点の休憩場所風情。
仙台神室へ向かう登山道は雪の下。
山形神室の東側もなだらかな高原状の草原が続きますが、仙台神室が迫ってくるとダンゴ平と呼ばれる鞍部に向けて怒涛の急降下。
下って来た登山道を振り返る。登り返しが辛そう。
捏泥の登山道。どう歩いてみても泥んこ状態です。
更に登山道は池となる。この時期、残雪からの水流で避けられない運命。スパッツは必需品。
足元注意であるものの、ダンゴ平は笹原の別天地。笹谷峠付近のように高速道路や送電線など無粋な人工物が視野に入らないので気分が良いです。写真は山形神室方面。
これから登る仙台神室を見上げます。なんか登りが激しそう。
ダンゴ平近辺はおだやかな起伏が続きます。振り返ると山形神室が全く違った姿で新鮮です。
矮小な樹林帯を潜り抜けます。この辺りはまだ新緑が始まっていません。
仙台神室の最後の斜面は笑ってしまう程の急斜面。登山道が崩壊気味・・・犯人は登山者のストックのようですな。どうも登山者のストック使用が、土壌の流失や登山道の崩壊を早めているように感じるのです。自身も含めてちょっと反省。
笹原に囲まれた山頂の標識。結構大きいです。・・・というか甚だ無骨。

仙台神室の山頂からは、面白山や大東岳方面の展望が広がります。日本の背骨。
山形神室のたおやかな稜線。北側斜面にはやはり雪が多いです。
雁戸山とその右隣に蔵王の峰々。
麓から緑の絨毯が広がってきています。
仙台神室から往路を辿ります。振り返れば頂稜に盛夏のような眩しい雲が。
仙台神室と山形神室間はダンゴ平を挟んで意外に距離があります。
仙台神室の特徴的な山容は見飽きることがありません。

山形神室への手強い登り返しを終えると二口峠との分岐に着きます。
空模様が不安定になってきたので下山を急ぎます。予報では午後から雷雨もあるとの情報。トンガリ山付近はまるで後立山連峰のような雰囲気。
山形神室を振り返ります。
雲がどんどん発達して盛夏の佇まい。
駐車場に戻ってまもなく、バケツをひっくり返したような激しい雨となりました。危機一髪。

●駐車場
笹谷峠に未舗装だが十分な駐車場あり。
●トイレ
笹谷峠駐車場にちょっと古いトイレあり。
●登山道
特に危険な場所はありませんが仙台神室までの往復には余裕を持って。
●備考
神室岳では沢山の登山者と会いましたが、山形神室までの方が多かったようです。
●主観的所要時間
5時間程度もあれば(休憩含まず)。
この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。