●中倉山アプローチ
中倉山へは国道122号線を使います。車の運転が楽しくて仕方がない方は粕尾峠越えも一興かと。田元の交差点で右折せずに、直進すれば250号にはいれます。あとは、舟石峠への道を左手に見ながら道なりに走ればゲートに到着。銅(あかがね)親水公園の駐車場は左手に少し降りた場所です。道路標識もしっかりした観光地の駐車場なので迷う心配はありません。
●中倉山
中倉山は足尾銅山による煙害を受けた山岳のひとつ。なので、松木渓谷側は急峻で山体崩壊も顕著です。懸命な植生復活に向けた取り組みが成されているものの、現状はいまひとつの感が拭えません。このような事情から山頂をはじめ、周囲の稜線からの展望は360度。決して手放しで喜べるパノラマではないものの、足尾最奥の山々が連なる様は当に圧巻です。中倉山への登路は、仁田元沢の林道を歩き、上久保沢の砂防堰堤やその先の作業道跡から登るのが一般的なようです。明瞭な登山道は無いので地図やコンパスは必携です。また、中倉山単独で登られるよりも、沢入山、オロ山、或いは庚申山への縦走などで訪れるハイカーが多いようです。
銅(あかがね)親水公園の駐車場です。早朝から到着している車は渓流釣りの方々のようですね。
早朝の足尾ダム。駐車場から公園に向かうには斜張橋を渡ります。
公園内のサクラがまだ花をつけていましたよ。季節が逆戻りしたようです。施設内のトイレは未確認ですが、屋外の簡易トイレは男女とも使用可能でした。
観光用の展望台からの眺め。 松木川、仁田元沢、 久蔵沢と三つの川が合流している地点は広大です。
仁田元沢に架かる水道橋。え〜っと、ごめんなさい。渡ります。
仁田元沢の様子。左岸沿いに林道が走っています。登り口となる場所までこの林道を利用します。
林道は舗装されています。右側はしばらくの間、鹿除ネットが続いています。
対岸の山の斜面を望みます。かろうじての新緑ですが、山肌のダメージを覆い隠せるほどには回復に至っていません。
この堰堤の側からも取り付けるようです。

苔の生えたコンクリート擁壁を過ぎると、間もなく上久保沢の砂防堰堤に着きます。ここから登り始めても良いのですが、今回はこの先から取り付きます。林道はこの辺りから未舗装となります。
林道から見た取り付き場所。複数の立木にテープが付いているので判ります。林道が二俣になっている手前の地点です。(帰路に撮影)
作業道の残骸を進みます。写真では判りにくいのですが古いトラロープが張ってあるので道と判別出来る程度。
小さな尾根筋を乗り越えます。作業道がその原型を保持している貴重な区間ですな。
涸れ沢のようなエリアに入ると石がゴロゴロ。
おもわず命名したくなるような巨岩もあります。岩の多いエリアを過ぎると次第に作業道は不明瞭になっていきます。取りあえず落ち葉の多い急斜面をじっくり登るしかありません。あまり右に寄り過ぎると、上久保沢の砂防堰堤からの尾根道に合流してしまいます。
振り返ると備前楯山が望めました。アカヤシオの花もチラチラと確認出来ます。
写真で見るとのどかな眺めですが、登ってきた急斜面を振り返ります。作業道は殆ど消滅していると考えた方が正解。また、時折見られるテープや鹿道に惑わされず、自身でじっくりとルート判断した方が吉です。
辿り着いた稜線には目立つ大木と無数のテープ。
稜線上はすっきりとして歩き易いのですが、登ってきた斜面は分厚く積もった落葉がいっぱい。これが意外に厄介で、随分とおじさんはいじめられたのでした。
梢が邪魔していますが庚申山へと続く尾根筋とご対面です。
あぁ〜、なんて気持ちの良い尾根筋なんでしょうか。それにしても、・・・あぁ〜、なんで足元は鹿のウンコだらけなんでしょうか。
鹿のウンコを我慢して踏みながら辿り着いた平坦地。地形図では棚状になっている場所かな。
ちょっと下ると多少すっきりとした沢入山が望めました。
笹原の中に残っていた残雪。ここから地形図の1499メートル峰を目指します。
最初のピークまでなるべく西寄りにルートを取ると、岩棚の上でこんな景色をゲット出来ますよ。
沢入山とオロ山。状況が良ければ沢入山の先まで行ってみたいなと。
中倉山へと続く主稜線に乗っかると松木渓谷を挟んで対岸の山々が姿を現します。
社山と男体山。最近流行りのダンスみたいですなぁ。前後で重なってグルグルと・・・。
地形図ではこの辺りが山頂になるのかな。
潅木の間を抜けていくと・・・。
う〜〜ん。やはり、ある意味素晴らし過ぎる眺めですぞ。
大平山の重厚な存在感に圧倒されます。
中倉山の岩頭に到着。三角点は・・・わからんかった。三角点の標高は1499.5メートルですが本文では西寄りの1539メートル峰の標高を採りました。要は、中倉山は細長い頂稜を形成しているということで。
男体山はまさに日本版カイラス山。
沢入山の頭越しに皇海山の姿。
この尾根が行きつく先に見えるのは庚申山。
・・・しっかし、風が強くて立っていられねぇ〜。帽子が飛ばされそうなのでリュックに入れたけれど、貴重な毛髪も逆立って煽られて極めて危険な状況。
強風でよろめきながらも沢入山と中倉山との鞍部に向かって降りていきます。実は、今回のお目当てがその場所で待っているのです。
やぁ〜、こんにちは。
仲間が消えてしまってから、ずぅ〜っと、ひとりで立っているんだね。
君が創ってきた物語を話してもらえる時は来るのかな。
最初の岩場に到着。・・・ん、(汗)。
眼下に松木渓谷。・・・んんん、っと(汗)。
さっさと引き返すことにしました。今日はお日柄が悪いようです。
中倉山の手前で大休止。岩屑のこの場所だけ鹿ウンコなし。
景色は素晴らしいのですが、如何せん風が強すぎます。
ちょっと時間が中途半端というか、まだ午前中なのだけれど、今日はここまで。
素晴らしい大観ですが、このような風景になった原因を考えると、素直に喜べない一面もあります。決して山々の姿は健康的とは言えないのです。
斜面には登山道のような鹿道が幾本も刻まれています。
中倉山一帯が豊かな森林として再生することはかなり困難ではないかと感じます。特に、松木渓谷側は土壌流失というよりも、山体そのものの崩壊という状況になっています。
中倉山は自然が用意した学習センターのようなもの。出来ればより多くの人に見てもらって考えて欲しい風景でもありました。
今度は笹原が緑一色になった頃にでも。
下界に降りますぞ。
しばらく稜線どおしです。
狭い稜線なので進路は明快です。

鹿と人間が共同作業してこしらえたような踏み跡を辿ります。
中倉山、影の主役登場です。
1499メートル峰辺りからそのまま東進してしまうと、本来の尾根筋から離れてしまうので、最後の眺めの良いピーク手前の鞍部で右折。登るときに辿った岩棚を目安に適当に降ります。岩棚からは左に少し迂回気味に降ります。しっかりと南方向に降りていけば良い感じです。
下降地点に到着。この先もテープがあったりしますが、二本の大樹の間を目印に左側の急斜面へと降ります。
尾根ルートへの踏み跡が多いのですが、我慢して落葉の積もった浅い沢筋を降りていけば、露岩が積み重なった場所へとたどり着きます。この辺りからは作業道の痕跡が見つけやすいです。尾根ルートは下山時には使用しないほうが良いと思います。
無事、林道に着きました。ここで昼食タイム。
対岸の山々を眺めながら駐車場へと戻ります。
いろいろ工夫と努力を重ねているようですが。これからも大変な時間と労力を必要とするでしょうね。失うのは簡単ですが取り戻すのはとても難しいということですね。
赤倉山が見えてきました。足尾側の斜面はやはり痛々しい雰囲気です。
林道からの水道橋。
展望台から大平山と社山の眺め。是非、近いうちに訪ねてみたいものです。銅(あかがね)親水公園を起点にして、大平山から社山へと周回コースを組んだら楽しそうです。
ダム脇から眼下に銅(あかがね)親水公園。この時間帯は家族連れの観光客が沢山遊びに来ています。
公園のサクラを一枚。お疲れさまでした。
●駐車場
銅(あかがね)親水公園の駐車場。
●トイレ
銅(あかがね親水公園にあるトイレ。
●登山道
明瞭な登山道はありません。なので、経験者同行が望ましいと思います。
比較的利用者が多いと思われるのが、上久保沢の砂防堰堤からの尾根道です。但し、岩場やザレた場所もあるので、初心者も同行している場合には下山時、本文に記した作業道を使うのも一案です。しかしながら、作業道と言っても廃道で、メリットは岩場の下降を避けられる程度。落葉が厚く堆積しているので急斜面での転倒には常に注意が必要です。稜線は鹿道などを利用して何処でも歩けますが、松木渓谷側への転落注意。特に、沢入山へ向かう岩場については、強風の際には無理せず引き返すぐらいの勇気を持って欲しいですね。足尾の岩場はその成因から、どうしても脆く脆弱な場所が多いです。また、一般道ではないので淘汰されていない浮石も多いようです。短い区間
ですが標高だけで判断せずに十分注意してください。なお、地図とコンパスは必携です。
●備考
中倉山では誰にも逢いませんでした。けれども沢山の鹿には逢いました。銅(あかがね)親水公園
には親子グマ出没の情報がありました。入山する際にはクマさん対策も忘れずに。
●主観的所要時間
5時間程度もあればゆっくり戻って来られます(休憩含まず)。
●中倉山の周辺地図

この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。