栃木の山 大平山 訪問日2011年05月21日 天候 晴れ

大平山 ●大平山アプローチ
大平山は
国道122号線を使います。田元の交差点で右折せずに、直進すれば250号にはいれます。あとは、舟石峠への道を左手に見ながら道なりに走ればゲートに到着。銅(あかがね)親水公園の駐車場は左手に少し降りた場所です。道路標識もしっかりした観光地の駐車場なので迷う心配はありません。
●大平山
大平山は銅親水公園からもその茫洋とした山容を望むことが出来ます。登路は、大ナギ沢の右岸、左岸どちらかの尾根を選んで登りますが上部で合流します。右岸尾根の場合、松木渓谷からのアプローチとなります。左岸尾根(松木尾根)は長大で、通常、安蘇沢の林道を使って下部をショートカットします。今回、紹介しているのもこのコースです。但し、登山とは別に往復4時間余りの林道歩きはなかなかハードです。また、落石や崩壊箇所も多いので注意が必要です。整備された登山道は無いので、鹿道などを拝借した笹原歩きとなります。テープ類が少ないので、GPS、地図、コンパスは必携ですが、天候が良ければ大変判りやすい尾根道です。なお、野生動物との遭遇が多いので鈴やラジオなどを持って行くと安心です。

大平山 ハイキングルート

大平山朝の銅親水公園の駐車場です。う〜ん、今日は足尾の山は定休日なのでしょうか。人間は誰もいませんぞ。ニホンカモシカが一頭、悠然と朝の散歩を楽しんでおりました。


大平山車を停めた駐車場から車道を辿ると、ゲートのある松木渓谷方面への入口です。大平山の稜線が朝日を浴びて綺麗です。でも、滅茶苦茶遠いやないか〜い。


大平山左折する松木渓谷方面への林道と別れて真っ直ぐ歩いて行くと現れる分岐。 左が安蘇沢保安林管理道へと続く林道、右が久蔵沢沿いに阿世潟峠へと続く林道(途中から廃道みたいなもの)。なので、ここは当然のことながら左です。


大平山久蔵沢に架かる橋を渡って、安蘇沢の谷間に進んでいきます。


大平山対岸の尾根は植樹されているものの峻険な岩場となっています。紅葉の時期は一幅の絵画のような光景になりそう。


大平山さて、林道をしばらく歩いて行くと、ゲートの傍らにこんな看板。つまり、何かあっても自己責任ということですな。周囲は旧い時期に取り組んだ植林地域のようで、クロマツが立派に生育しています。


大平山再び分岐。ここは右です、右。真っ直ぐ進むといかにも大平山方向ですが、右に登っていくのが正解ですぞ。


大平山このコースを選択した自分が恨めしく思えてきた頃、再び分岐。ここは左です、左。真っ直ぐ行くとなんだか工事事務所があるようですぞ。こっからは安蘇沢とはさよならして、大平山の巨大な山腹をせっせと横切って1356標高点を目指すことになります。まだまだ遠いので焦らず行きましょう。


大平山うんざりする林道歩きですが、この辺りから眺望絶佳。遠く地蔵岳、備前楯山、赤倉山、社山南尾根などが楽しめます。銅親水公園辺りも見えちゃってます。


大平山そして、この林道のハイライトはなんといっても中倉山と沢入山の壮絶な崩壊壁の眺めですな。


大平山山腹の山襞を巻くようになると落石の痕跡も多く、決して安全な林道でないことが窺い知れます。常に頭上注意です。で、ここまで来る間に数えきれない程の鹿と遭遇。春日山みたいなもんです。


大平山長かった林道歩きもここが終点。尾根への登り口の目印になるのが2個のドラム缶です。この傍らから法面を斜上すると、1356標高点となります。


大平山法面をよいしょっと登りきると・・・なんじゃこりゃ〜。太陽電池で動いてるカメラのようですな。自分も記録されてんのかな。人間が一匹通過、でも肥満だから二匹にカウントみたいな感じで・・・。


大平山本当の登山スタート地点となる、1356標高点からの素晴らしい景観。この景色を観るだけでも価値有りですね。


大平山さて、それではいよいよです。雰囲気の良い尾根筋じゃありませんか〜。


大平山と、歩き出したらいきなり捕獲用のトラップです。う〜ん、はっきり言って懐かしいです。かつての職業柄、とっても気になります。茨城県の組織が設置しているようですが、ツキノワグマ狙いのようですね。足尾の山々にもツキノワグマが戻りつつあるということでしょうか。


大平山大切に育てられたカラマツ林を登っていきます。殆ど全てのカラマツの幹周りには、鹿に樹皮を剥がされないように、ネットで養生してありますね。また、この近辺のカラマツはしっかり育っているので、今後も山体の安定に寄与していくことでしょう。それにしても・・・鹿ウンコだらけじゃ。


大平山鹿ウンコを踏みしめながら辿り着いた展望地。この辺りから笹丈は膝程度。カラマツは疎林となって、明るい笹原となっていきます。


大平山一気に展望が開けてきましたよ。既に大平山の頂稜部が望めてしまいます。


大平山見下ろすと、いつの間にか中倉山は眼下に。そして、松木川の流れが箱庭のように俯瞰出来ます。深い峡谷が膨大な土砂で埋め尽くされてしまった様子が判ります。


大平山大平山素晴らしい青空。目に沁みる笹原の緑。そして、さっきから執拗にまとわりつく鹿ウンコとたちこめる強烈な獣臭・・・。大平山は鹿達にとってトレンドな場所なのかなぁ。「いゃぁ、やっぱり大平山の笹、一度は食べなくっちゃね。」とか、言いながら来ているのでしょうか。


大平山なんというか、古墳を並べたような盛り上がりを登ったり降りたり、また登ったり・・・。鹿道のおかげで案外消耗せずに歩けます。ピークを忠実に辿るのも、ちょっとズルして巻いてしまうのも自由選択。


大平山鹿道から離れて軌道修正する際は膝から腿丈程度です。


大平山まぁ、何処を歩いてもおんなじというか、ひたすら高みを目指すというその一点のみ、山登りの基本に立ち返った原点みたい感じです。で、その気持良さはテープ類が非常に少ないということと因果関係があるような。道標やテープ類があると人間は知らずと、進路判断をする際にコントロールされてしまいます。でも、なんにもないので、そーいう呪縛から解放されちゃうのです。


大平山で、なんにもないと、良い景色についつい引き寄せられていきます。う〜ん、道草ばかりです。良い景色には重力があるのです。


大平山大平山に生まれ、大平山に育ち、大平山に帰っていくのですね。


大平山笹原は大海原のように風を受けて波打ちます。普段、眼に見えない風の足跡が頂に向かって刻まれていきます。


大平山小さな頂はダケカンバの集会所でした。


大平山梢越しに大平山の鯨の背中のような頂稜が間近に望めます。見えているだけに辛いところ。


大平山真っ直ぐ登るのも良し、道草しながらフラフラ登るのも良し。


大平山小さな頂に辿り着く度に新たな景色が目に飛び込んできます。あの向こう側には一体何があるんだろう〜。おっさんの心の中で久しく錆び付いていた童心が目覚めます。


大平山この辺りまで登って眺めてみると、社山の三角錐がなかなかダンディですな。・・・しかし、南尾根辛そう。


大平山男体山がちょこっとだけ頭出し。三週連続で眺めてきましたが、雪、もう全然無くなっちゃいましたね。


大平山足尾側では皇海山が当に盟主の貫禄で佇みます。国境平から立ち上がる急峻な尾根筋が良く判ります。辛そうです。


大平山足尾側の全体眺望です。松木渓谷の眩しい崩壊壁と庚申山や皇海山の深い緑のコントラストがこの地で起きた出来事を物語ります。

 


大平山正面の頂稜に至ったなら右折します。大平山までもう少し。


大平山手前から二つ目のピークが大平山の山頂です。


大平山頂上へ至る稜線に立つと、はじめて西側の山々が確認出来ます。錫ヶ岳は三角形の渋い佇まいです。


大平山そして、周辺の山々から雪が消えても、未だ白い姿の白根山。当に、栃木県随一の高峰としての面目躍如といったところ。


大平山いよいよ、憧れの山頂に向かって歩を進めます。


大平山・・・んがぁ〜、山頂手前で腰高の笹原にはまるの図。なんで、ここだけ笹深いのであろうか。倒木も多いので要注意。


大平山コメツガの針葉樹林に逃げ込んだほうが楽チンです。


大平山大平山大平山山頂到着です。憧れの山頂は・・・え〜ん、なんて地味なんでしょうか。山部さんのプレートがお出迎えです。南面は明るい笹原なのですが、笹の崖といっても良いくらい急斜面なので休憩にはちょっと不適です。


大平山なので、山頂手前の見晴らしの良いピークまで戻ります。休憩を含め、午前中で折り返せたのでひとまず安心。


大平山こうして眺めてみるとよく登ってきたもんです眼下に光る川面の向こうからてくてくと歩いてきたわけです。


大平山山頂に至る稜線に別れを告げて左折します。


大平山この辺りでお昼休憩


大平山・・・あ、暑い。海辺で寝転がってる感じです。標高1900メートル地点とは思えない暑さ。でも、腹減った・・・。


大平山下山時はちょっと気になった風景を撮影しながら下ります。


大平山大平山スケッチブックを持ってくれば良かったと悔やまれますね。何処を見ても絵になる風景です。


大平山美しいのですが植生としては決して豊かではありません。煙害の後遺症といったところでしょうか。


大平山袈裟丸山のようにこの稜線がアカヤシオで埋め尽くされる日は戻ってくるのでしょうか。



大平山1805メートル標高点付近。松木渓谷側から取り付いた場合、この辺りに飛び出すのでしょうか。かなりの急傾斜ですよ。


大平山笹原の向こうに皇海山。童話的世界です。


大平山厳しい環境に耐えたダケカンバは独特の美しさがあります。


大平山ダケカンバの街路樹。


大平山これだけの標高がありながら、登山口付近や駐車地が常に見えています


大平山ダケカンバと笹原のエリアから次第にカラマツの植林地へと下っていきます。


大平山一旦は荒廃の極みだった谷や尾根も、植生回復に向けた様々な努力によって、近年は随分、緑濃い姿になってきました。。


大平山眺めの良い稜線に別れを告げてカラマツ林へ。


大平山尾根は緩急のついたアップダウンはあるものの、ほぼ一直線になっています。複雑に曲がったりする場所がないので、自身の位置を把握しやすく迷うことはないでしょう。


大平山林道に到着。さて、ここから2時間余りの林道歩きが待っていますよ。


大平山大平山ではダケカンバやカラマツの木々に、調査用の機器が取り付けられています。なんとなく監視されているような気分です。
法面の上から落石があったので、見上げてみるとツキノワグマが一頭。まだ若いクマさんのようです。慌ててUターンして森の中に消えていきました。お互いに
距離があって良かったです。



大平山林道はこのように延々と山腹を巻いていきます。よ〜く観察していると谷間や稜線近くを移動している鹿の姿が判ります。距離が縮まると警戒音を発して遠ざかるのですが、一目散に逃げるというよりも、振り返ってじっと見ている場合が多いですね。好奇心が強いようです。


大平山林道はガードレールもなく幅の狭いもの。路肩が崩れていたり大きな落石、法面の崩落等が多数見られます。


大平山赤倉山を正面に望む地点まで降りてきましたよ。この辺りまで来れば熊避け鈴やラジオなどの鳴り物も止めてよいでしょう。


大平山ゲート手前で歩いてきた林道を振り返ります。左に曲がる舗装路は松木渓谷への道。さすがにこの林道歩きは凹みましたよ。かなり蛇行しながら歩いたので、一直線に伸ばしたら結構な距離になりそうです。お疲れさまでした。



●駐車場
銅親水公園にある駐車場。
●トイレ
銅親水公園のトイレ。
●登山道
危険な場所は林道かも知れません。落石注意です。尾根に取り付いた後は危険箇所はありませんが、整備された登山道もありません。なので、鹿道を繋ぎながら辿る感じです。他山に比較して登山ルートを示すテープ類が極端に少ないので、日頃から目印等に依存した歩き方をしていると、多少戸惑うかもしれません。晴天であれば全く問題ない稜線も視界が悪くなると、一面の笹原ですから注意が必要です。時間的な余裕があれば、黒檜山まで足を延ばすと良いでしょう。また、クマさん対策なども忘れずに。
●備考
大平山では登山者と出会うことはありませんでした。が、ニホンカモシカ、シカ、ツキノワグマ、工事しているおっさんなど賑やかでした。
●主観的所要時間
8時間もあれば戻って来られます(休憩含まず)。

●とても参考になりました
「栃木の山283」
「安蘇の山懐から」

山とんぼさんの記事によると今回登った尾根が松木尾根、大平山一帯を地元では松木山と呼称しているようですね。
●大平山の周辺地図

この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。

 

 


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