
夕日岳への登山口、蕗平への分岐には3台程度の駐車スペースがあります。地図上では463メートルの標高点が示されている場所です。なので、ここから歩くと夕日岳山頂まで1063メートルの標高差を登り切る必要があります。なかなかスペシャルでエキサイティングなルートでありますぞ。
廃村となった蕗平へと通じる道。当時は数件の家屋があったようですね。
山間に開けた蕗平に到着。分岐から数分程度です。蕗平周辺にも路肩などを利用して駐車可能。
たつたひとつ寂しく残る鳥居。この鳥居脇の木杭が並んだ林道をそのまま登っていきます。「夕日岳新道登山口」などという小洒落た標識はありません。どなたか立派な標識を設置してくださいね。
林道から蕗平を見下ろします。竹林や庭木がそのまま残っているので、なんとなく曾て人々が生活していた場所であることを偲ばせます。
林道は尾根を乗っ越して進みます。眼下には東大芦川と前日光基幹林道の河原小屋三の宿線がチラチラと望めます。
林道が開削された区間の尾根は改変激しいので、蕗平からこの林道を利用するのが無難なようです。但し、駐車地である河原小屋三の宿線の傍らから、頑固一徹に登ってくることも可能です。尾根を潰して貫いている林道が右側に逸れていく場所が夕日岳へと続く新道入口と考えて良いでしょう。尾根に取り付く場所の赤テープが目印になっています。どなたか格好良い看板を作ってくださいな。標高は640メートル辺りと思われます。
檜の植林帯を登ります。なかなか歩き易い尾根じゃないの、と油断していると、間もなく、薄っくらい植林の中を一気に高度をあげます。ひぇ〜〜。
植林帯の壁を登り切ると傾斜が緩くなります。下山時は進行方向左手に引きこまれやすいので要注意箇所。地図上で677メートル標高点のある尾根筋のほうが立派なので、なんとなくフラフラと行ってしまいそうじゃないかと。
左手は檜の植林、右手は自然林という尾根筋を辿ります。
905メートルの標高点です。ここからは暫くの間、穏やかな登りが続きます。
905メートルのピークからは自然林に包まれた尾根筋となります。
新緑の時期なのでツツジの花も多く、気持ちの良い道が続きます。
岩の多い尾根ですね。
テープ類や古いペンキ印もあって、迷う心配はありません。
次第に尾根筋が広くなって来ましたよ。
尾根上とは思えない平坦地に、なんか標識らしいもの発見。
・・・とらり平?。いや、トラッ平かな。いやいや、虎なんぞ居るわけないから、ひらっ平かなぁ。・・・う〜〜む。
あぁ〜、なんて夕日岳の遠いこと・・・。
ツツジだらけのトラッ平を経て。再び傾斜が強まっていきます。
なかなか素晴らしい雰囲気の尾根筋ですよ。
左手の高みに向かって登山道は続きます。
登り着いた場所の立木になんか標識らしいもの発見。丁度、1294メートルの標高点となる場所。
・・・おおほのち?。いや、オオホッチ?。
それとも、「高ボッチ」みたいな感じで「大ボッチ」かな。・・・う〜〜む。
「オオホノチ」からはアカヤシオがお出迎え〜。
夕日岳も多少近づいて来たようなそうでないような・・・。おじさんはなんとなく登れそうな予感がして来ましたとさ。
標高1200メートル辺りを越えるとアカヤシオが次第に増えてきます。
ありゃ、せっかく登ってきたのに下りるのかい。・・・勿体無ねぇ〜。
右手には女峰山、大真名子、男体山がチラ見え状態。

下りたらまた登って、また下りて更に登って・・・むむむ、いい加減にせんかい〜。

地図上では全く表記されていない鋸刃状の細かなアップダウンが続きます。勿論、マイナーなルートなのでロープや鎖などという有難い代物は皆無。
なんだか夕日岳が近づいて来ませんなぁ〜〜。
1300メートル辺りでフィールドアスレチック状態と化しています。安全第一に歩いているので遅々として進まんのです。
ようやく乱高下から開放されてすっきりした尾根道になりましたぞ。目指せ、夕日岳〜〜。
・・・えっ?、胸突って、・・・うぇ〜〜ん。
胸突の頭上に立ちはだかる大岩。左右どちらからも巻けますが、どちらもロープや鎖がないのでそれなりに面倒。登りは左側、下りでは右側を試しました。丁度、1300メートル付近となります。
胸突から解放されると伸びやかな尾根筋が展開します。あぁ〜、良かった。
なんとなく樹木が伐採されてますよねぇ。登山道開削時に整えたのでしょうか。お陰でとても歩き易いのです。
周囲はアカヤシオだらけ。
ようやく夕日岳の頂が近づいて来ましたよ。後から判りましたが、実際の山頂はずっと後方でした。あはは・・・。

自然の造形を堪能しながら進みます。
この辺りの登り道から、ピークを通らずに左に巻いていく踏跡がありますが、危険なので入ってはいけません。面倒でも忠実に尾根をトレースします。1450メートルのピークに立てば再び明瞭な登山道が続きます。
再び急降下。なんでやねん〜。

まるで切戸のような場所ですなぁ〜。
・・・いわたあ?。岩たあ・・・。なんのこっちゃ。・・・う〜〜む。
帰路、先程の巻き道らしい場所から登ってきた登山者の方が、命の危険を感じたと申しておりました。まさに、「岩っタァ〜」という感じです。
「岩タア」を過ぎると再び道は穏やかに。
頭上にはアカヤシオ。なんか、今年はいまひとつなのかも。
おぉ〜、前方が明るく開けてきましたぞ。もう登らなくても良いのかな。


・・・・むむむ、ここは駅前か。静かな山道を登ってきたおっさんは怒涛の登山者にすっかり怯んでしまいましたとさ。

登山者軍団が去るまで辛抱強く待ちましたよ。静かな夕日岳山頂です。
表日光の皆様方です。
足尾と奥日光の皆様方です。
白根様です。有難や〜。
こっちは女峰様。
言わずもがなの男体様。


地面に落ちて静かに朽ち始めた夕日岳新道入口の看板。あれ、お労しや〜。
しかも「なにこれ、読めないよねぇ〜」などとツンツンしてる失敬な登山者もおりまして、ついついあまりに不憫なのでテープでまきまきしてしまいましたよ。とりあえずこれでランチタイムに登山者のお尻の下になることは免れそう。
山頂直下で頑張る蕗平、本沢林道を示す看板。赤テープで括られ凛々しい佇まいですぞ。
夕日岳山頂に別れを告げて下山します。
帰路もなかなか大変そうですよぉ〜。
あはは、下山なのに登りの多いこと・・・。

再び、登ったり下りたりと格闘します。
でも、こんな眺めは夕日新道を歩いた者だけの特典と言えるかもです。。
アカヤシオ、また、来年まで見納めです。
振り返って夕日岳を望みます。なかなか遠くなってくれませんなぁ〜。
時期は外してしまいましたが、夕日新道はカタクリが群生しているようですね。カタクリの花も多少残っていましたよ。
こちらは本沢林道方面。こっから下りると大芦渓谷ヒュッテまで随分長い道のりのようですね。

もう一方は蕗平を示す看板。トンネルのように続く尾根道は間違えようがない雰囲気。

もう少し花が多ければアカヤシオのトンネルといった感じです。
年によってアカヤシオの開花は当たり外れがあるようです。というよりもちょっと遅かったかな。
463メートル地点まではまだまだ遠い道のりです。
アカヤシオ回廊を下っていきます。
こんな長閑な尾根道が何処までも続けば幸せなのですが・・・。

あぁ〜、再び登ったり下りたりのくり返し。嬉しいやら、悲しいやら。
夕日新道の尾根筋にはこんな二重山稜のような地形が散見されますよ。
ようやく着いた「オオホノチ」で大休止。こっから直接大芦渓谷ヒュッテに下ってしまうのも粋な選択ですぞ。

この後は怒涛の下降です。標高差が千メートルもあると植生の変化が楽しめますなぁ。
1071メートル標高点からの下りは気持ち左寄り、905メートルの三角点があるピークの先、780メートル付近から蕗平へと続く尾根に乗るには多少注意が必要。おそらく、そのまま尾根らしいところを進むと677メートルのピークがある尾根に向かってしまいます。なので、もうちっと右側の植林の垂直の壁になったような場所から降ります。下っていると次第に尾根のようになっていきます。
無事、蕗平に戻りましたよ。
林道を利用して夕日新道を登る場合には、この鳥居脇の道を登っていきます。
んで、林道なんかでズル出来るかいという方はこのお地蔵さんの裏手から登りましょう。尾根の形状からもここが夕日新道の本当の始まりと考えるのが妥当でしょうね。林道で度々途切れるものの尾根上には踏み跡がしっかりついています。ここから登るなんてまっことストイックな生き方ですなぁ〜。
後日談
職場にA氏が訪ねてきましたよ。
A氏 「わたしも蕗平から夕日に登ってきたよぉ〜。走るのはちょっと無理だねぇ、難コースだから。歩いて登ったよぉ。」
ボク 「そうでしょうねぇ〜、あそこはベテラン向きだからさすがのぼくも登りで4時間近くかかりましたよぉ〜。まっ、走らなれければそんなもんでしょ。ははは。」
A氏 「えっ? 走らなかったけど、だいたい夕日まで2時間半くらいだったよ。」
ボク 「・・・・ムッカァァァァァ〜〜〜」
で、A氏曰く、夕日新道はシロヤシオもすごいんだそうです。
おしまい。
●駐車場
前日光基幹林道と蕗平の分岐に3台程度。蕗平の路肩に3台程度。ゲート無いけど蕗平から先の林道は侵入しないほうが無難。
●トイレ
ありません。
●登山道
危険な場所はオオホノチから岩タア辺りまで。鎖やロープに頼れない岩稜の登下降が続くので十分ご注意を。また、廃道とはなっていないものの、地図、磁石、GPS持参は最低条件。全般、尾根筋を辿るので迷うようなことはないと思いますが、下山時は引きこまれやすい支尾根に注意。尚、胸突からの大岩の迂回の取り方や、岩タア手前のピークに登る際に続く巻き道状の踏み跡は要注意かもです。
●備考
夕日新道ではふたりの登山者に出会いました。夕日岳山頂は満員御礼でした。
それと、再三言いますが山頂で大声で山自慢すんのやめてくんねぇかなぁ〜。うるさいから。
●主観的所要時間
7時間程度で戻って来られそうです(休憩含まず)。
●とても参考になりました
「バテバテ山日記」
ぶなじろうさんの蕗平から夕日岳の記録です。
「アキ爺の山歩き・沢歩き」
アキ爺さんのプレート考察を拝見して「オオホノチ」の疑問が晴れましたよ。
●夕日岳の周辺地図

この記事に関する内容はあくまで主観的な印象を綴ったものです。
もし、登ってみようかなと思われたら、面倒でも最新の情報を収集されるようにお願いします。
登山道は季節により変化します。年数を経れば様変わりもしてしまいます。
無理をしない山行で楽しい想い出を沢山つくってくださいね。